絹のような心

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「 あなたは浮気をしたんですね。 幸太郎さん、録音があるそうです。」 と、かすかに聞こえた。 富士子さんはしっかりと受話器を握り締めているはずだから相当な声で言ったと思う。 そのあと舌打ちが聞こえた。 「 えぇ」 という声が聞こえて、富士子さんが、 「 録音があると申し上げたら、幸太郎さんはうなだれて何も言わず、お義母様が舌打ちしました。 私はとても驚きました。」 と、言った。 「 私は驚きません。 お義母様はいつも私を嫌っていらしたから。 子連れのバツイチと結婚してやったと私と息子にいつも言って、外でも言いふらしていたから。」 「 私にもいつもそう言っていました。 それから幸太郎さんはあなたがパチンコにしょっちゅう行ってお金がないと言っています。高級なお化粧品も沢山買って料理も作らないと言っています。 私は伝えているだけです。」 と、富士子さんは申しわけなさそうに言った。
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