第四章 これで恋の障害は、ナシですか?

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「これで私、海斗の奥さんになったの?」 「なった。おまえ、もう佐々原姓だからな、間違えるなよ」 「……」 「凪子?」 こんなにあっけなく海斗の奥さんになれるなんて思わなかったから少し拍子抜けしていた私を尻目に海斗は随分淡々としていた。 「なんだか海斗、いまいち感動していないよね」 「は? なんだそれ」 「だって凄く冷静。結婚したっていうのに」 「そうはいってもなぁ……先に結婚式挙げたらこう、いまいちテンション上がらなくないか?」 「まぁ……そうかも知れないけど」 一昨日挙げた結婚式はごく親しい人たちを招待した少人数のこじんまりとした式だった。 だけど出席してくれた人たちにとても盛大にお祝いしてもらって、結婚したのだという気持ちはそこがMAXだったような気がした。 そんな盛り上がった気持ちは昨日まであったけれど、今日に至ってはすっかり落ち着いた気持ちに戻ってしまっていた。 「式と入籍だったらやっぱり式の方が結婚したってモチベーション上がるよな」 「うん……だけど婚姻届け出してこれでやっと私は法的にも認められた奥さんになったんだよね」 「そうだな」 「……」 そうやって考えるとやっぱりジワジワと嬉しさが込み上がって来る。 人によっては好きな人の苗字になるのは恋愛事に関しては最大級の喜びだと思う。 勿論、私は嬉しい派だ。
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