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その日は朝から頭が痛かった。だからきっとこれからもっと頭の痛い事が起こるのだろうと予感していたのだが──……
「なんだよ、これ!」
「……」
非番の日にいきなり喫茶店に呼び出され、開口一番にそんな言葉が俺に浴びせられた。
「なんだといわれてもそのメールに書いてある通りだ」
「馬鹿にしてるのか?!」
「していない。というかどちらかといえば馬鹿にしているのはおまえの方だろう、康彦」
「!」
凪子をこっぴどくフッた前の彼氏である康彦は俺にとっては一応友達という肩書の人間だ。
だけどそれは間に凪子という存在があったから築いて来た関係だともいえる。
「おまえが凪子を裏切ったからだろう。だから俺が凪子を幸せにするといっている」
「……」
凪子と結婚を見据えた付き合いは三か月続き、お互いの親にも紹介し結婚を認めてもらい、本格的に式に向けて準備をし出した頃に一応のけじめとして康彦に事の顛末を綴ったメールを出した。
「おまえを式に呼ぶつもりはないからな。一応報告だけだ」
「……いつからだ」
「何が」
「おまえ、いつから凪子のことが好きだったんだよ」
「答える義務はない」
「あるんだよ、凪子はオレの──」
「凪子はおまえの──なんだ」
「!」
いい加減康彦の言葉ひとつひとつが癇に障り頭痛は酷くなった。
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