第二章 男友達との恋愛、アリですか?

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『俺は生まれてすぐに母親に捨てられたんだそうだ。未婚で俺を生んだ母親は自分一人では育てられないからといって産院から児童養護施設に連絡が行って、生後一週間で俺は母親と引き離された。それで施設で里親になった今の両親の元に引き取られてここまで育ててもらった』 『……』 『俺を生んで捨てた身勝手な母親という女のことは俺の中ではどうしても受け入れ難い憤りになっていて、そんな女というものに酷く嫌悪を感じるんだ』 『……』 『最初から育てる気がないならなんで俺を……子どもを作ったりするんだ。安易な行為の末に俺はこの世に生を受けたっていうのか?!』 『……海斗』 『正直母親という存在、それ以上に女という存在が疎ましい』 『……私も?』 『え』 『海斗、女が嫌いって……じゃあ私のことも? 本当は嫌いで、嫌悪感を抱いていて……なのにどうして私と』 『おまえは女じゃねぇ』 『は? どういう意味よ』 『おまえは俺以外の男に現を抜かしている単なる色呆けだ。だからおまえを女として見ていない』 『何よ、それ!』 『……おまえはそのままでいてくれ。ずっと……その名前の通りずっと俺の心に波風を立たせず凪いだままの存在でいてくれ』 『……』 出生の話を訊いてから少しだけ海斗に対する気持ちが変わった。 私は海斗の前では女を意識させないように振る舞った。 海斗が望むようにずっと……ずっと気の置けない友だちでいようと──いたいと思った。
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