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「先に成功報酬としてもらっておくわ。これぐらいどうってこと、ないでしょう?」
「な……なっ……」
「本当なら体を求めるところよ。それをキスだけで我慢しているのだから、ね」
「~~~!!」
キスされたことにも驚いたけれど、それよりももっと濃厚なものを求めようと思っていた洋子さんの気持ちがとても恐ろしくて驚いてしまった。
「凪子、あんたはわたしに感謝することになるわよ」
「……え」
その時の凛々しくて頼り甲斐に満ちた洋子さんの顔を私は一生忘れることがないだろうと思った。
それから洋子さんが取り出した携帯で誰かと話を始めた。
「いいから、さっさと来なさい! 来ないとあの事、梓ちゃんにいっちゃうわよ」
(梓ちゃん?)
聞こえて来る洋子さんの言葉を不思議に思いながらも、私は休憩室のソファにただ黙って座っているしかなかった。
やがて通話を終えた洋子さんが浮かない表情で私の隣に座った。
「全く……だから男って嫌いなのよ。しかもネクラのオタクなんて」
「あの……洋子さん?」
「ん?」
「もしかして誰か来るんですか?」
「あぁ、心配しないで。確かにこれから男が来るけれど全然害のない男だから」
「……はぁ」
(どうして男の人を呼んだのだろう?)
洋子さんの考えていることが全く解らずに、ただ時間が過ぎるのを待つしかなかった。
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