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*5*
「ねぇ、どうかな? 似合う?」
式獣課のすぐ隣にある女子更衣室から出てきた遥は、スピカに服を見せびらかすように、くるりと回ってみせた。
出勤途中に薄汚れてしまったスーツから、支給された式獣使いの制服に着替えたのだ。
『……《まご》馬子にも衣装、ってやつ?』
そう言って笑うスピカも、背の部分に四つ葉のクローバーの刺繍が施された、式獣用の白いベストを身に纏っている。
「うわ、ひどーい。この制服着るの、すっごい憧れだったんだからね!」
『はいはい。じゃ、よく似合ってるよー』
小さい頃によく見た、父親が着ていたのと同じ制服に袖を通していると思うと、何だか感慨深いものがある。
式獣使いのシンボル服として通称『白服』と呼ばれているこの制服、動きやすさと強度を兼ね備えた汚れにくい素材が使われ、暗闇で微かに発光するのが特徴だ。
今、遥が着ているジャケットにパンツタイプの他に、香澄のようにタイトスカートを組み合わせるもの、空良が救助の際に着ていたつなぎ型の救助服タイプ、その他、式典等に参列する時用の礼服タイプが存在する。
『さて、着替えも終わったことだし……早速、地下見学に行ってみるとするか』
「うん!」
着替え終えた遥は愁一郎の提案で、スピカと二人で彩瀬署内にあるそれらの設備を見て回ることにしたのだった。
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