勘解由小路邸の戦い

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勘解由小路邸の戦い

勘解由小路の自宅は、依然間断のない総攻撃を受けていた。 影山さん。気をつけてね。敵は何かおかしいもの。 涼白の思念波が届いた。 影山さんは戸惑いを隠せなかった。昨夜、鬼哭啾々と何かが起きたのは解っていたが、涼白の精神的成長がありありと伝わった。 一晩でここまで。鬼哭恐るべし。 あんな貧乏臭い冴えない中年なのに。 うん。気をつけてね正男。ああチュウしてほしい。ああんしゅてきなお尻。ハアハア、オスヘミちゃん。逞しくて♡私のおっぱいもお尻もアリスさんもおじしゃまのものだす。誰にも触らせないわ。 涼白!思念波でハアハアするな!鬼哭!覚えておけよお前! お兄ちゃんうるさい!正男は私が守るんだから!赤ちゃんの父親に何か文句あるの? あ、あああああああああ赤ちゃんだと?! そうだもん。毎月定期的に血が出てたのに、今月まだ出てないし。お兄ちゃんにどうすればいいか教わったのに、お兄ちゃんソワソワしちゃって役に立たなかったし。携帯で調べたもの。今ナプキン使ってるのよ。おえ。ちょっと気持ち悪い。じゃあ切るね。 もうつわりかあああああああああ?! おのれ許さんゾーイ!産んでくれたことは感謝するが、もう敵だお前は。いくら成長が早いからと言って、生後半年でもう妊娠するとか早すぎる。 察したらしい(ジャスパー)は言った。実際何故解ったのか。 「ふーん。もう出来たのか涼白は。私の処女くれてやろうと思ったのに抵抗しやがって」 「8歳のおぼこにそんな真似出来るかあああああああああああ!」 「馬鹿め。私のおっぱいはママ譲りで大きいんだ。ママは小3でもう生理がきて、ブラは子供用ですらなくなった。私のおっぱいペロペロさせてやろうと思ったのにな。ああ来たぞ。影山、殘らず薙ぎ払え」 ええい!ゾーイの私兵共があああああああああああああああああああああああ!!! 言いがかりに近い感情が上乗せされたアルコルの一撃が、庭に侵入した爬虫類系妖魅を斬獲していった。 一方、西の塀の切れ間から無数に襲いかかる妖魅を、カリバーンを振るうライルと、異世界アースツーから来た若き魔法剣士、ユーリディス・ニルバーナの疾風魔法が、相乗して切り裂いていった。 「とんでもねえことになったがよ、いけるぜ俺は。お前はどうだ?腐れ女」 「王陛下に置いてけぼりにされているが、今こそ実績を発揮する時!こんなモンスター如き!はあ!」 抜けば珠散る氷の刃の言葉の通りに、水気を纏った剣は研ぎ澄まされ、硬い表皮で覆われた鎧トカゲを刺身のように切り裂いた。 ひゅう。口笛を吹いたライルの油断をついて顎門を開いた鰐の頭が吹き飛んでいた。 「おう!危ねえ!チャカなんか飲んでんのかお前は」 「アースツー最高のガンスリンガーより下賜された45口径だ。どれほど猛っていても心の底は冷え冴え渡り、常に冷めた目で周囲を見回し、殺すチャンスを狙え。我が師国王陛下の教えだ」 「へえ。あの赤ん坊共の父親がなあ。意外に凄えってことか」 「そして!どれほど夜の闇に支配されようとエロは死せず!男は常にアニキのそそり立つものを口に頬張る瞬間を狙っている!これは我が心の師であるウラスジ・ペロリンティーナ先生のお言葉だ!ああああああ!BL社会の到来を心から望む!ビバBL!かっこいい男性に肛門を優しく愛撫される社会を!ホモの嫌いな女子はいない!」 「前言撤回だボケがあああああああああ!アースツーには馬鹿しかいねえのか?!」 ユーリの目は完全にラリっていた。 銀正男が混元傘を振るい、発生した風は研ぎ澄まされ、爬虫類系妖魅を焼き切って捨てた。 混元傘を逆に握り、ホバー移動して高速で動き回り、今ちょうど爬虫類系妖魅を一匹切り捨てた涼白の横に立った。 「正男、速いしカッコいいし強い。素敵よ」 「気持ち悪そうにしてたが、大丈夫か氷花(ひょうか)?」 「うん。ちょっとつわりって奴が来ただけだから。やあ!」 やあって。え?つわり?だって、あれ?痛がってたし血がーー。 「したの昨日だぞ?!もう?!」 「うん。産みの母親の影響みたい。頑張ってね。パパ」 「畜生(ちっくしょう)めええれれえええええええ!!俺父親かよ!こんな俺が!あああああああああ愛してるぞ氷花!俺と結婚してくれええええええ!!」 「うん。よろしくね。正男。パパさん」 降って湧いた幸運と幸福に満たされて、正男は爬虫類系妖魅に突っ込んでいった。
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