死々戸迦風花

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死々戸迦風花

三芝優子の家には、ダラけきった空気があった。 その空気を満たしていた人物は、ソファーに胡座をかいて、コンビニ弁当を食い漁っていた。 弁当にかじりつきそうな死々戸迦風花の襟を掴みながら。飯島大夢(いいじまひろむ)は言った。 「本当に何なんだ?あんた。東京は真っ暗になっちまったし、化け物は暴れまわってるしよ。頑張ってるのは飛んで武林と、多分」 窓の外をビームが走った。多分メタルマサカーだろうと思った。 「あれ?おお!死々戸見ろ!晴れたぞ!お前何もしてないのにな!解決しちまったんじゃねえか?!ちょ!ちょっとだけ弁当忘れろ!」 「ニュクスって奴が張った天蓋が切り裂かれたのね。力は強くても、所詮ここ止まりってことじゃないの?」 「ってなるとよ。あとはお前だ。イザナミか?お前は何なんだ?死々戸に引っ張られたってことだがよ。何の意味があるんだ?お前に」 イザナミは、楊枝をシーシーしながら立ち上がった。 「ニュクスがいる。ニュクスは今勇者が戦ってて、この世界にもう一人闇の申し子がいる。私はそうね。遥か昔に取り出された私の卵子が受精して出来た娘の母親って訳よ。さて、状況と人間が整理されて少しスッキリしたから、私は私の仕事しなきゃね。それは7体あった。それは、ずっと私を呼んでた。今もいる。さながら七つの大罪のように。だってそうじゃんか。私の罪なんだもの。カリクスもニュクスも、私なしで勝手に話進めて。あー。お腹いっぱいだし。うん。じゃあ動くか」 「何言ってーー!」 イザナミは、当たり前のように飯島と死々戸の心臓を貫き、魂を取り出した。 「死々戸って子は煮ても焼いても食えない。飯島君だっけ?君の存在は、制御不能の死々戸迦風花の存在を補完し得る。さて行くか。私はイザナミ。冥府の母だもの」 イザナミは、一人開けた暗い穴を通って、冥府に消えていった。
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