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神界会議
大量の神々が、神界会議に顔を出していたが、数柱の神以外は素知らぬ顔をしていた。
星の再生に携わらないからか。
司会を買って出たのはエラルだった。
「じゃあ始めるのでぃいす!突然降って湧いたニュクスの所為でアースツーは滅亡したのでぃいす!今回の議題はラグナロクプログラム発動の前の話し合いなのでぃいす!奮って意見出せなのでぃいす!」
「うるせえ!引っ込め駄神が!芋でも食ってろエラル!」
「人の純情踏みにじりやがって何が愛の神だ!買ってやった神界一等地返せ!」
「初っ端からメチャクチャ人望ないじゃねえかエラル!まずお前がラグナロクを加速させてどうする?!」
「あー。何かいきなりディスられてやる気なくなったのでぃいす。ラグナロク起きてもしょうがねえのでぃいす」
「どけエラル!俺に言わせろ!そしてズボンビチャビチャじゃねえかカリクス!オムツ履いてんのかお前は?!」
「オムツの件はトップシークレットなのでぃいす。それ公表されたら最後永遠に奥に引きこもって出て来なくなるのでぃいす」
「知るか!じゃあ行ってくるぞ!おいみんな聞いてくれ!俺はジョナサン・エルネスト!ニュクスに滅ぼされたアースツーの住人だ!アースツーの危機に対し、ニュクス討伐の為に知恵を貸して欲しいんだ!ラグナロクのこともガイアに聞いてる!ちょっとだけ待って欲しい!アースツーには今四千万人の住民が幸せに暮らしていた!俺はアースツーを救いたい!頼む!力を貸して欲しい!」
誰も聞いていないしジョナサンの方を見もしなかった。
「うおおおおおおい!無視すんな!あれだ!いるんだろう?!マルグリウス!お前の作ったゴーラ勝手に改造して悪かった!おい!話を聞いてくれ!」
「なあ、ところでよ。あの虫は何だ?何て神だ?」
「知らねえ。さっさと星作っちまえよ」
「星作るならガイアじゃない?前から気に食わないんだけど。前世がエロいからって好き勝手して」
「ヴィーナスの嫉妬かよ。だったらヘラ呼んでこいよ。醜い女の諍い見てえな」
「おい!全然聞いてねえぞエラル!こいつ等役立たずか!」
「私は他の神に嫌われているのでぃいす。エロフェアリーは私の使いで、ここじゃ存在すら認められねえのでぃいす」
畜生。ここでも俺はブロンズなのか。神といえど人間と同じ。昔はよくこういう扱いを受けた。
真に恐ろしいのは敵意を向けられるよりも、こうしていないものとして扱われることだ。こちらが何を、どれだけ正しいことを言っても、そもそも聞いてくれなければ何も言わないのと一緒だった。
エラルは嫌われ者。カリクスはそもそも存在が認知されていない。哀れなボケ老人扱いか。
がっくりと肩を落としたジョナサンの小さな体は、突如光に包まれエロフェアリーから元の体に戻っていた。
「え?あれ?う、うおおおおおおお!アレが戻ったあああああああ!俺のアレがあああああああああああ!エラル!お前何した?!」
「何もしてねえのでぃいす。おやあ?生き返ったのでぃすか?確かに一時的とはいえ死んでるはずなのでぃいす」
「一時的に死した肉体を元に戻しただけです。そしてジョナサン・エルネスト、神々には今回の星の危機を打破する術はありません。誰もが神の階を登った神々です。精々古い神は古いだけで大した力を持たぬネームバリューだけの存在です」
神々の間を縫って現れた白い姿に、ジョナサンは心底驚かされた。
彼女のことはよく覚えていた。何しろ、かつてアースツーを滅ぼそうとした張本人なのだから。
「ーー臥待月、だよな?」
「お久しぶりです勇者エルネスト。その節は大変お世話になりました。私の今のマスターがお待ちです。参りましょう。ユノさんはきっと助けられます。あの子の力は私が誰よりも知っていますので」
相変わらず、真っ白なメイド衣装を着たかつての人型実験兵器は、恭しく頭を下げた。
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