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地獄転生
警察庁祓魔課は陥落しようとしていた。
島原雪次は、傷つき膝を突いた。
敵はフィッシュではなかったが、三人の悪魔の猛攻に、島原は敗北しようとしていた。
「そうか。地獄に落ちていたのか。言われてみれば、お前の所為で多くの百姓が無残に殺されたんだったな」
「左様。兵糧も尽き、退路もなく、全て根切りにされたのだ。誰一人として信仰を捨てることも出来ず、幕府に殺されたのだ」
相対していた相手が告げた。若く、澄んだ声だった。神童の誉れ高い、天に愛されたと言われた男だった。
「しかし、私のいた村では、それに賛同すらしなかったのだ。神は既にそこにいた。空穂舟で漂着した異神に取り込まれて。そうか。悪魔になっていたんだな」
島原は、相手を見上げた。
「天草四郎時貞」
「今は天使さんと呼ばれておりますよ。我等が神、禍女の皇様に。そうですか。異教徒ですね。虫のように死せよ」
四郎時貞の邪器、天上天下唯我独尊が、島原に迫っていた。
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