俺の可愛い幼馴染み

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 金曜日の九時。普通の寮だったらとっくに門限になっているはずの時間に、悠々と帰ってきたのは、薄い色彩の髪をオールバックになでつけて、似合わないピアスを二つずつ着けた同室者。首にまいたチョーカーはもらい物の高そうな石だ。また女が貢いだのだろう。 「大和、今帰りか……。相変わらずチャラい格好だな」 「なんだよ、正悟。帰ってきて早々小言かよ」  睫で影が出来そうな顔は、女達に人気があるのもわからないでもない。  俺たちが通うのは、少人数の精鋭が通うという噂の皇星学園。学年に五十人も満たない生徒たちは、何かしら特技を持ったものばかりだ。 『この学園のモットーは、生徒の自主性です。やりたいことが見つからないなら探すのもいいし、あるのならそれを頑張るといい。芸能活動をしているものもいるし、個人のスポーツのために遠征している人間もいるから、一クラス二十五人とはいっても、少ない時は一桁の時もあるくらいです。有意義に過ごしてください』  そう言った学園長の言葉通り、同室の大和はモデルをしているし、俺は空手をしている。今日は、昼前にマネージャーの車で出かけていたから仕事だったのだろう。 「疲れた――。あちこち連れ回されて、オレはお人形さんかっていうの」 「随分口の悪いお人形さんだな」  営業活動だったのかと思っていたら、自分の部屋に戻るために横を通った大和から香水の匂いがした。 「あのヤリチンめ、女の匂いなんかつけてきやがって……」  行きはマネージャーだったはずだけど、帰りがそうとは限らない。  大和から彼女と出かけるとか聞いているし、実際女と一緒のところをみたこともあるが、あいつは線の細いイケメンだからか女をきらしたことがない。この学園は辺鄙なところにあるから送り迎えがいるしと言って、いつも相手にしているのは大人の女ばかりだ。大体高校生を相手にしている女にろくな奴がいるとも思えない。  よっぽどあいつの方が、かわいこちゃんなのに、世の中間違っている。  しばらくして部屋から出てきた大和は、だっさい寝間着姿になっていた。寮長や生徒会長の部屋は一人部屋だけど、俺たち普通の生徒の部屋は、共通の居間はそれなりに広いけど個人でもらえる部屋はベッドと机を置いたら大体埋まるから大体こっちにいることが多い。シンクや電気のコンロも小さな冷蔵庫もあるから、本当に便利だ。 「正悟、勉強してんの?」  冷蔵庫に大量の麦茶を用意しているのは俺だ。それをコップに注いで、大和は俺の分と自分の分をテーブルに置いた。 「まぁ、勉強といえば勉強だな……」  さっきは気付かなかったらしい本の山の一番上のをとって、ペラペラとめくる大和の手が止まった。 「……おまっ、これ――」 「大和、言葉になってないぞ。そうだ、男同士の恋愛が描かれているいわゆるBLと呼ばれる漫画だ」  山の半分は読んだ。大体のテンプレというのは覚えたように思う。だが、貸してくれたやつの性癖が滲み出ているのか、やたらと先輩と後輩やら、先生と生徒だった。体育館や理科室、裏庭などが豊富だった。教室が、一番多いけど、うちは金持ちも多くてセキュリティのためにカメラが取り付けられているんだよな。 「何、真面目に答えてるんだよ。お前、まて誰とする気だ? ここが男子だけの学園で、出会いがないとは言っても、逸るなよ……」  本をテーブルに戻して、赤い顔をしながら俺を止めようとしてくれているのは、友情だ。  まぁ、言えないわ。お前の事、想ってても無駄だから、そろそろ気持ちに整理つけようとしているんだなんてな。 「お前、髪の毛下ろしたら可愛くなるよな……。そんな顔、女にみせたら肉食系しか寄ってこないんじゃないか?」 「うるさい、男は顔じゃない!」 「顔のいいやつが言っても、自慢にしか聞こえねぇよ」  本にチラチラと視線を送りながらも大和の顔は、どこか思い詰めたような目をしていた。  幼馴染みでもある俺が、男に興味があると知ってショックを受けているんだろう。全寮制の男子校にいるというのに女をきらさない大和にはわからないだろうけど、俺だって青春てものが欲しい。  寮にいるときはダサいパジャマを着ていて、髪の毛を下ろしているせいか幼くなった無防備な大和の項に、熱くなるものを持て余すのもそろそろ終わりにしたいのだ。  誘ってくれた後輩には悪いけど、男同士は今だけと割り切っている奴だし、許してくれるだろう。 「あ、あのさ。誰とするつもりなんだ? 一応相手がいるから勉強しているんだろ?」 「まぁ、そうだな……。名前は言わないよ、相手に失礼だろ」 「そ、そうだな。お付き合いとかはじめるんだよな」 「まぁ、仲良くはなるだろうな……」  まぁまぁと、どこのおっさんだと思うような台詞だが、想像は想像でしかないから仕方がない。 「お前結構世話焼きだから……、きっと、オレの前でもイチャイチャしたりするんだろうな」 「俺、世話焼きか?」  自覚はないが、大和にはそう見えているのか。 「お前が世話焼きじゃなかったら、いつもオレの髪を乾かしてくれてるの誰だよ……。麦茶もオレ沸かしたことないし……。朝も起こしてくれるし」  こいつの髪は触ると気持ちがいいんだよな。椅子に座らせて上から乾かすと旋毛も見えるし、項は見えるし、駄目だ駄目だ――。 「麦茶は、ついでだし。朝は俺、強いからな」 「なぁ、お前が誰でもいいって言うなら……オレでもいいんだよな? その、男同士のやり方とかわかんないけどさ」  椅子に座って俺を見上げる大和の目には、茶化している雰囲気なんてなくて、頬はさっきより赤くなって、もしかして俺を誘っているのか? 「誰でもいいとか思ってない」  つい、本音が出た。いや、やろうとしてたのは本当だけど、選んではいたし。だって、俺が大和のことを好きなのに、俺を好きだっていう奴を相手になんて出来るわけがない。 「そ、そうだよな――。ごめん、悪かったよ……。オレみたいなチャラ男、真面目なお前にしたら気持ち悪いよな……」  口元をわななかせて、大和は小さな声で謝った。目にうっすらと涙のようなものが浮かんでいるように見えるのは俺の気のせいだろうか。 「お前のこと本当にチャラいって思ってたら、チャラいなんて言わねえよ――。気持ち悪いなんて思ったこともない。ただ、お前を抱けるなんて思ってなかったから……、嬉しくてヤバい――。今更、冗談とか通じないからな。覚悟しろよ」 「んんっ! 痛っ――、馬鹿……」  立ちあがって驚きに目を見開いた大和の唇にキスをしたら、歯が当たって怒られた。痛そうな大和の唇に血が滲んでいる。 「悪い――、余裕ないっ」  それでも大和が痛がることをしたいわけでもなく、うっすらと滲む赤い液体を癒やすように舐めた。 「キス、初めてなんだから、味あわせろよ」 「初めて?」 「Hしても、キスはしたことない……」  ちょっと待て、お前の女達はそれを許すのか? 恋人じゃないって事か? 「お前、今までに何人彼女いた?」  つい、気になって訊ねた。 「えっと、八人くらいかな……?」  二年の秋だぞ、八人……。しかも数え忘れているのもいそうな雰囲気だ。 「皆怒らなかったのか?」 「ん? 最初に言ってるから。好きなやついるから、キスはしたくないって……」  俺、しちゃったよ――。  盛大に汗が噴き出た。 「キス、嫌だったのか?」  恐る恐る訊ねると、大和は首を傾げた。  大事にしていたというファーストキスを奪ってしまった。大和が、俺のために身体を張ってくれているというのに、俺は大和を傷つけたのか……。 「好きな人と、したいって言ったじゃん」  それって、もしかして俺のこと、好きって言ってる……んだよな?  確認も兼ねて、大和の唇を指でなぞると、ねだるように目を閉じた。 「大和、好きだ――」 「そんなこと言わなくても、嫌だなんて言わない」  大和は、俺がやるために告白したと思ったようだ。 「えっと、大和は俺の事好きだから、キスしても怒らないんだよな?」 「そうだって言った。早くしろよ……」 「それなのに俺の言葉は嘘だと思うんだ?」  目を開けた大和が、気まずそうに顔を逸らす。 「だって、男になんか興味ないって入学したとき言ってた」  大和とは、小三の時まで近所の家に住んでいる幼馴染みだった。大和の親が離婚して、母親と双子の姉と一緒に出て行ってから、ずっと会いたいと思っていた。まさか、同じ学校に入学するなんて思っていなかった。 「それは――、言うだろうが。入学して早々から先輩に付き合いたいっていわれたり、同級生に告白されたり……。お前も同様だったじゃねぇか。お前の事好きなのに、お前はもう彼女がいたみたいだし。俺は、お前が好きだからそう言って断ってたんだよ」 「言ってくれれば……。こんな一年以上無駄にしなかったのに……。お前が男は興味ないっていうから、誘われていた女と付き合ったんだよ――。お前以外の男なんて、それこそ興味なかったし。オレだけがお前を好きなんだと思ったら辛かったし――」  大和は、高校に入るまで誘われてはいたけれど、男女の関係はもってなかったのだそうだ。  マジか……。俺のヘタレ! 俺がちゃんと言葉にさえしていれば、大和は……。 「大和のことが好きなんだよ。ずっと一緒にいられると思ってたのに、突然消えてしまって――。子供の好きじゃないって、再会して気付いた。お前のこと、ずっとずっと……」 「あ……んんっ……」  椅子に座る大和に覆い被さるようにして、キスをした。今度は傷つけないようにそっと優しく。緩く開いた唇の隙間から差し込んだ舌を、大和は受け入れてくれた。  俺の腕のシャツを握る大和は、目を閉じたままだった。薄い色彩の瞳を見たくて、悪戯するように舌で突く。  薄い肌が上気して、ピンク色になっている。 「最後までしていいのか?」  何度もキスしていたら、うっとりとした様子の大和を抱きたくてたまらなくなった。こんな甘い色気を放つ大和は初めて見た。 「……どうやってするのか、オレわかんないけど――」 「さっき勉強したから大丈夫だ」 「正悟は、成績いいもんな」  クスッと笑う大和は、拒んでいない。 「まかせとけ――。ちょうど勉強道具として、スキンもローションもあるし」 「……くれたやつに悪いな」  拗ねたような顔で、そんな事を言う大和の頬を撫でるとくすぐったそうに身を捩る。。 「今度アイスでも驕っとくから、気にしなくていい」  もう一度軽くチュッと鳴らしてキスすると、大和は呆れたように笑った。 「もう少しマシなもの驕ってやれよ」  手を引いて、一緒にシャワーを浴びるために誘った。二人部屋は、居間が共同だけど個人の部屋もあるのがありがたい。シャワーも付いている豪華な寮は、多分一人暮らしの新人サラリーマンよりもいい暮らしだ。 「一緒に入るのか?」 「ここを解さないといけないから……」  裸になるとさすがに照れるのか、大和はキョロキョロしている。  脱いだ大和の身体から女がつけていたのだろう香水の匂いが立ち上ってくる。この匂いを消し去りたい、というのが本音だ。途中でこの匂いを嗅いだら、優しくしてやれる自信がない。 「あ……、そうなんだよな。後ろを使うって聞いたことある」  鈍感な大和は、俺の気持ちに気付かないまま最後の一枚を脱ぎ去った。  シャワーを出したまま二人で入るには狭いそこに、踏み台昇降運動のための台を置く。プラスチックだから濡れても平気だ。そこに腰かけて大和を誘った。 「俺の太ももに乗って?」 「え、抱き合って?」 「でないと、キスしながら解せない……」 「ムードとかないのかよ……」 「ごめん……」  というか俺は、本当に初めてだから色々するには頭が沸騰してしまう。 「もう、なんだよこれ」  文句を言いながらも、俺の太ももに座り抱きついてくれた大和には感謝だ。 「でもほら、触りやすい」  二人の間の性器は、同じように少しだけ勃っていた。 「キスもしやすいな……」  髪を下ろした大和の顔は幼げで、そんな大和が俺の唇に吸い付いてきたから、股間がいきなり元気になってしまった。 「大和っ」 「お前もキス、好きなんだな」  キスも好きだけど、それだけじゃない。百戦錬磨のくせに色事なんて知りませんって無垢な顔で迫られてみろ、元気にもなるわ。 「擦って?」 「いいけど、お前のデカくて、手に余りそう」  大和は、両手で俺と自分のモノを一緒にして擦りはじめた。シャワーの水と、精液とでシャワールームは水音で溢れた。  水にも強いからと思って、持ってきたチューブのワセリンを指につけて、大和の尻を探った。弾力のある尻は、多分女みたいに柔らかくない。でも俺は、その尻を揉み、中央のくぼみを見つけた。 「っ!」  キスをしている大和が息を飲んだ。同じようにビクンと震えた性器に俺のそれも勢いづく。  尻に手が届きやすいようにともっと密着すると、大和が唇を離して空気を吸う。 「あ、あ、あ……」  ツプッと入り込んだ中指を締め付けているわけではないのだろうけど、力が入っている。 「挿った」 「んん……あ……」  手が止まっている大和の首筋を舐めると、切なげに声を上げる。 「大和、可愛い――」 「やぁ――……」  中を探るように指を動かすと、大和の身体が揺れる。 「あんぅ……あ、あ。何か出そうで怖い――」 「出していいんだよ。空っぽにして、俺を挿れるんだから」 「や、恥ずかしい……。あ、やだ。指開かないで――」  二本挿れると少し眉間に皺が寄ったのに、動かしているうちにうっとりと俺にもたれかかる大和は、もしかしたら才能があるのかもしれない(BL勉強から察して)。。 「痛くない?」 「痛くない……けど、あ、何か興奮する――。オレ、淡泊だと思ってたのに」  淡泊な男が一年半で暫定八人も彼女変えるかよという言葉は飲み込んでおく。 「前はいいの?」 「だって……前、触ったらすぐ達ちゃうし――」 「達けよ――。好きなだけ俺の腕の中で達ってくれ」  俺以外の誰ともヤって欲しくない。そんな俺のエゴが透けて見えたのか、大和は嬉しそうに笑った。 「一緒に達こ?」  その顔で、そんなこと言われたら、触らなくても達く! 「また大っきくなった……」  ははっと笑う大和の声が少し焦ったように擦れる。 「あ、んっんっ! 達くっ! 正悟……」  大和の指で二人のソレが元気よく弾けた。 「ひっ! あ……」  挿れていた指を引き抜くと、ガクガクと震えて大和はすがりついてくる。 「大和、エロい……」  抱きしめた温もりは、俺の腕の中で微笑んだ。  急かすようにタオルでお互いの身体を拭いて、俺の部屋に誘った。多分俺の部屋の方が片付いているから。 「お前、いつも綺麗にしてるよな……」 「欲しいときにそこにないのが嫌なんだ……」  床に物が落ちてないのが偉いと褒められたが、そう言われると大和の部屋は物が溢れるようにあったなと思い出す。 「明日が土曜で良かった――」 「うん……」 「もしかして用事入れてる?」 「いや、別れるし、断るよ。ちょっと待ってて」  今日も出かけていたのに、大和は元気だ。  俺の前で電話を掛けて、謝っている姿を見ると相手には悪いが嬉しかった。 「ごめん、待たせた……」 「怒られた?」 「いいや、オレみたいなオモチャは沢山いる人なんだよ。だから、オレも安心してお前を想いながら付き合えた」  結構酷い事を言っているんだろうけど、俺には心臓が止まりそうなくらい嬉しい言葉だ。 「俺を想ってたって、いつから……?」 「ずっと、ずっと……。一緒に空手やってたときから好きだったよ。お前、向日葵に将来結婚しようって言っただろう? 悔しかった――」  向日葵は、大和の双子の姉だ。三人で空手道場に通っていた。手を繋いで、家から道場までの道のりはいつも楽しかった。 「……うん。速攻で断られたけど」  覚えている、雪の積もった日だ。あの頃の俺は、今よりもっとガキだった。大和のことが大好きでしかたないのに、素直になれなかった。そう言えば、向日葵と張り合おうとして大和がムキになるのがわかっていたから言ったのだ。向日葵は、俺の二つ上の兄貴のことが大好きだったから断られるのはわかっていたのに。 「正司兄ちゃんのこと好きだもんな向日葵」 「だな。将来、向日葵が姉ちゃんか……」  俺たちが再会したことを告げると、向日葵は居場所を聞き出し、正司兄貴に特攻したのだ。そして、今は仲良く付き合っている。  ずっとすれ違っていた俺たちとは大違いだ。 「変なの……。オレ達義兄弟になるんだぞ」 「願ったり叶ったりだ――」  寝台に押し倒すと、やはり照れたように顔を背ける大和。 「大和、女抱く時もそんな風に可愛くなってたのか?」  嫉妬が漏れて、責めるように聞いてしまった。 「可愛くなんかない――。だって、お前とこういうこと出来るなんて思ってなかったんだもん……。恥ずかし……んっ」  無理矢理顔をこちらに向けて、キスをした。 「そんな煽って、どうなってもしらねーからな。童貞舐めんなよ」 「バーカ。オレだって後ろは初めてだって……あ……」  挑むように俺を見上げる大和の首筋から胸に舌を這わすと、大和が熱い吐息を漏らした。  俺がヘタだとかそういう見栄は捨てた。だって、どう考えても大和のほうが経験値は高くて、俺が拙いとか当たり前のことだ。  出来ることと言えば、大和を気持ちよくさせて少しでも俺とのセックスを嫌だったと思われないようにすることくらいだ。 「大和、胸、敏感だな……」  唇が触れる度に身体が震えて、一度吐き出したはずの性器がもたげてくる。指で形を確かめると、大和が何度も頭を振った。 「あ……あっ……ぁ。うぁ……」 「気持ちいい?」 「や、だ……。正悟も気持ち、よく……」  一人で快感を追うのが嫌なのか、俺の性器にも手を伸ばしてくる。 「いいから、気持ちよくなって――」 「あああ……、はっ! あ、胸ばっかり舐めんな――」 「だって、大和、ここ凄くよさそうだ」  片方を人差し指で弄り、片方を唇に含んで、片手は元気いいソレを扱く。 「まっ、待って――ああ……んぅ。や……やぁ――」  言葉も目もあやしくなっていく大和に煽られるだけ煽られて、触らなくても達ってしまいそうなくらい育った俺の相棒は、力なく何度か握られただけなのに、二度目の射精を果たしてしまった。 「ごめん……一人で達った……」 「いいよ、嬉しいし……」  一人で旅立ったというのに、大和は優しい。しかも嬉しいとか言ってくれるし。泣きそうだ。 「次は、オレの中で達けよ?」 「そういうこと言ったら、元気になるぞ……」  もうなってるけど。 「男同士は後ろからの方が楽だと、参考書に書いてあったから……」 「参考書ね……。オレもバック好き」 「俺は正面でお前の顔見ながらしたいけどな」  大和にキスしながらローションをタップリつけた指を挿れた。 「あ……、お前の指、太い――」 「だから、そういうの煽ってるっていうの、お前も男なんだからわかるだろ?」 「んぅ、わかんな……。煽られたことないし――」  シャワールームで解したのもあって、大和の小さな孔は俺の指をスムーズに受け入れてくれた。でももう少し……。  ローションを足しながら、二本に増やし開いたりまわしたりすると、キスしている大和は苦しそうに横を向いた。 「痛い?」 「痛く……ないっ! なんかムズムズして、息苦しいんだ……」  それなら良かった。 「後ろ向いて」 「わかった……」  いつも俺がゴロゴロしている大きなビーズクッションを抱きしめて、大和が「正悟の匂いする……」と言った。 「臭いか? 俺、結構汗かきだからな」 「正悟の匂い、好き……。お日様の匂い」 「そんないいもんじゃないだろう?」  うっとりとビーズクッションに顔を埋める大和に聞きたい。 「お前、そんなに可愛かった?」 「可愛い……?」  不思議そうな大和だけど、可愛い以外にどう表現するんだ。この天然は。 「可愛い」  背中にキスを落とすと、ピクリと身体を震わせる。 「オレ、綺麗とか格好いいって言われるんだけど……」  うん、俺もずっとそう思っていた。でも今、俺の腕の中にいる大和は、どこからどうみても可愛い。 「俺の腕の中だけ可愛いのでいいよ。ライバルは増やしたくない」 「あ……、なぁ、もういいから挿れろよ」  振り向いた大和の顔は、可愛いだけじゃなくて色っぽかった。 「うん。俺もそろそろ限界……」  参考書もといBL本に書いていた前立腺がいまいちわからなくて、大和には悪いなぁと思う。後は、俺のマグナムにもしっかりとローションを塗って、準備万端だ。 「大和、我慢出来なかったら言えよ?」 「わかった……」  大和の小さな孔を開くようにして、俺の性器を押しつけた。  少しずつしか挿らない。精一杯に開いて俺を迎える大和が切なげな声をあげる。 「あ……ああっ! ……はぁ……あっ」  白い腰骨を掴み、斜め上から一気に挿れた。 「大和……」 「ああっ! 正悟……、正悟、待って――」 「あ、大和――」  動かさなくても、中がキュウキュウに狭くて、大和が声を上げるその微振動でも凄い気持ちがいい。最初は、痛いくらいに凄い締め付けるだけだったソコが少しずつ緩んでくる。 「正悟、も、いいよ。動いていいから……」 「ああ、大和」  それでも辛そうなのに、腰を振るのも躊躇われて、ゆっくりと微振動を与えるように腰を揺らした。  ビーズクッションの中身が出てきそうなくらい握りしめていた指が力を抜いた。  後ろから、手を伸ばして大和の性器に触れると、やはり元気がなくなっていた。  そりゃそうだ。大和の吐息は、気持ちいいというよりも青色吐息だもんな。 「あ、あ……」  それでも頑張って前を可愛がっていると、大和も気持ちよくなってきたのか声を漏らしはじめた。 「大和、好きだ……」  俺の言葉に、中がキュウと返事をするように蠢いた。 「ああっ、正悟、オレも好き……」  俺のマグナムもピクリと反応するから、身体って正直だなと思う。 「バック、やっぱり駄目だな。折角お前が好きって言ってくれているのに、顔が見られないなんて」 「じゃあ、抜いて、正面で来いよ」 「でも……辛いかも」 「俺もお前にキスしたい……」  ゾクッと湧き上がる快感に、俺は我慢が出来なかった。 「あぁぁ……はぁ……はぁ。なんで、あ、駄目だろ」 「ご、ごめん。可愛いこというから我慢出来なかった……」  自分でどうにかなるほど経験値があるわけじゃないのに、大和が煽るから、達ってしまった。 「じゃあ、こっち向いてしきり直しだな」  スキンを換えて、キスしながらもう一度大和の中に挿ると、今度は柔らかく俺を包み込んでくれた。 「ああっ、あ、キスしながらは無理――」 「んんっ、大和、気持ちいい」  グチュグチュと水音を鳴らしながら大和の中を探る。 「あんっ、あ、あぅ……」 「エロイ、大和」 「お前も、腰使いエロイ……」 「頑張ります!」  出来れば大和にも良くなって欲しい。いや、大分いいのかな?   大和の性器は俺たちの間で、揺れているし、白くなってた顔色がピンク色になってきている。 「ああっ、そこっ! あ、駄目――、達くっ」  ああ、ここが前立腺なのか。突然身体をエビみたいにピチピチ跳ねさせているから、驚いた。 「達って――、俺も達く――」  蠢く大和の中に翻弄されて、俺も限界だった。童貞が我慢出来るような快感じゃない。 「あああぁぁぁ! ああ……あ……」  腹の間で擦れていた性器を掴んで、大和は達った。 「抜くね」 「んっああっ……!」  抜いたのがまた良かったのか、大和は身体を捩らせて横を向いた。空いた隙間に倒れるようにして、俺も転がった。 「何か……凄かったな」  どう言えばいいのかわからなくて、俺は感想を述べた。 「凄かった……。いつもと違いすぎて、驚いた」 「女とヤるのとはまた違うの?」 「うん……。でも、ヤだからな。正悟は女としたい……?」  息を弾ませていた大和が、不安そうに俺を見る。 「何でそうなるんだよ」 「だって、正悟はいい身体してる――。男に人気あるけど、多分女にも人気あるだろう?」 「お前に言われたくないけどな。でも、俺は大和がいいんだ。お前が俺を捨てない限り、俺はお前だけでいいよ――。好きだって、言ってる」  頬を撫でると、大和は目を瞑って安心したように息を吐いた。 「オレも、もう正悟しかいらない――」  抱きしめると、胸に顔をつけて大和は眠りはじめた。 「可愛い……」  長い睫の端に涙の跡があった。最初の時、きっと痛かったのだ。俺が傷つかないようにと我慢していたのだろう。  可愛い、俺の幼馴染み――。  頬にキスすると、眠っているのにあどけなく笑った。                                  <Fin>
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