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 涼太の家は一応明かりがついていたけれど、人の気配はまったくしない。リビングを通り過ぎて涼太の部屋。そこにまずは俺用の布団を運び込んだらそのまま、絡みつくようなキスをした。 「んぁ……ぁ……」  しっかり頭をホールドされて、何度も角度を変えてされるキスはぼーっとしてくる。口の中がこの一週間くらいで敏感になった気がする。舌先で擽られると気持ち良くなって、声が出てしまう。  涼太のベッドに腰を下ろして、キスされながら押し倒されて、また。わりとねちっこいんだなって笑いながら俺も涼太の髪をかき混ぜるようにして抱いた。  手が恐る恐る浴衣の合わせから中に入ってくる。あまり触られる事もない場所を確かめるように触れられるのは、なんだかモゾモゾする。居心地が悪いじゃないけれど、くすぐったいような、落ち着かないような。  手の平全体で胸元を撫でていた手が、乳首をやわやわと揉み込み始める。ここも、気持ちよくなれるらしい。  けれど俺はあまり感じないのか、反応が鈍いままだ。 「気持ちよくない?」  聞かれて、素直に頷く。だって嘘ついてもバレるだろうし。 「正直、今はよくわからない」 「んっ、そうだね。初めてだし」  納得してくれたのか、笑った涼太の唇が首筋の辺りを這う。これは少し気持ちがいい。背中にゾクゾクした感覚が走って、僅かに心臓が加速したと思う。 「でも、感じやすい?」 「わかんねーよ、そんなの。こんな事するの、涼太とが初めてだし」  経験がないから分かりませんよ。  涼太は俺のこの発言に顔を真っ赤にして、嬉しそうな恥ずかしそうな顔でモゾモゾする。変な所に乙女が残っていないか?  「涼太、嬉しいわけ?」 「そりゃ、嬉しいに決まってるだろ? だって俺が……一馬の初めてになるんだから」  そりゃお互い様だろうが。  俺は涼太の胸に手を置いて、伸び上がって首筋にキスをした。 「んぅ」 「ははっ、色っぽい声。涼太が下になる?」 「え! あの、それは……次の機会でいい?」 「え?」  ってことは、次は俺が抱いていいわけ?  妙に赤い顔で言われると、かなりムラムラする。こいつの方が大きいけれど、多分俺こいつのこと抱けると思う。 「次、俺で良いの?」 「え? うん、いいよ。でも今日は、俺にやらせて」  マジか。俺、一生下なんだろうなと思ってたから不意打ちの吉報だった。よかったな俺、処女が先だけど童貞も捨てられるってよ。どっちも男相手だけどな!  でも、好きになった相手に貰われて、貰ってくれるならいいんじゃないか?  わりと単純な俺がここにいる。 「涼太、浴衣先に脱ぎたい。汚したら申し訳ないし、言い訳しにくい」  雰囲気とか、体温とか、息づかいとか、匂いとか。そういうもので興奮してきたような気がして、俺は提案する。既に皺とかは出来ていそうだけれど、これはまだ誤魔化せる。でもここで暴発でもしたら、流石に「何やってたの?」ということになってしまう。 「脱がせろよ、涼太。俺も、涼太の脱がせるから」  一度立ち上がって、互いに正面から密着して抱き合って帯を解き合う。もの凄く非効率だけど、その間涼太の匂いを存分に堪能出来たのは感無量だ。  全部脱いでしまうと、流石に恥ずかしくて知らずに手で前を隠した。だって、恥ずかしくないか? 暗いとはいえフルチンでいるって。 「一馬、手はずしてよ」 「嫌だよ、恥ずかしい。ってか、萎えるだろ」  なんて言って、俺は全然萎えてくれないけれどな。  俺が知らない間に、涼太はキッチリ鍛えていたみたいだ。腹筋、薄くだけどちゃんと割れてるよ。カッコいいな、無駄に。それに……わりとご立派だ。  涼太はちょっと悲しそうな顔をして近づいて、俺の手をとって外させる。そしてクスリと笑った。 「一馬の、萎えてないじゃん」  確かめるように涼太の手が俺の前に触れる。自分とは違う体温、触れ方で。思わず上擦った声が出て、恥ずかしくて顔が熱くなった。 「可愛い。気持ちいい?」 「んゃ、あっ、やめろよぉ」  緩く扱かれて、俺は腰砕けになって抗議する。凄く、気持ちいい。涼太の方が手が大きいから、すっぽり包まれて扱かれると全部を刺激される。  竿からカリ首の所を引っかけられて、先端を捏ねる様にされるとニチニチと粘着質ないやらしい音が響いてくる。  悔しいし、恥ずかしいしで誤魔化そうと、俺も涼太の昂ぶりを握った。 「んぅ!」 「涼太のも気持ちよくしてやるよ」  ビクッと震え、気持ち良さそうな声を上げた涼太の前を扱く。脈を打って熱くなって、更に大きくなっていくのを見ていると、俺は墓穴を掘ったんじゃないかと内心あせった。なんせこれが俺の中に入るわけで、俺はいわば処女で…… 「なぁ、涼太っ」 「んぁ、なに?」 「んっ、これ、入れんの?」  怖くなって聞くと、涼太は「あ……」と困った声を上げる。お互い、何となく気まずい感じ。なのに手だけは互いに刺激しているって、猿かよ。 「とりあえず、このまま一発抜いとく?」 「そう、だな」  ナイス提案だった。  涼太と俺の、両方を一緒に握り込んで扱くと頭バカになるほど気持ちよくて、俺は涼太の肩に額を乗せて喘いでいる。気持ちよくて腰痺れてたまんない。オナニーの続きみたいなものなのに、癖になりそう。 「一馬、一馬ぁ」 「んぁ、涼太」 「気持ちいい?」 「気持ちいい」  キスしたら、涼太の口の中熱かった。貪るように舌を絡めて夢中になって擦り合って、俺は今までで最高の射精を味わった。  腰が溶けそうで、そのままベッドに倒れる。手も腹もどっちのか分かんない精液で汚れててもあまり気にもならない。  でも涼太はちゃんとティッシュとかで拭いてくれて、ついでみたいにチューブを側に置いた。 「あ……」  とうとう、そっちなんだ。  絶頂の余韻が残るなか、俺はひっくり返されてうつ伏せのまま尻を高くあげさせられる。これが楽な体勢だってのは、調べてたから分かる。そしてどうやら涼太も、ちゃんと調べていてくれたみたいだ。  ヌルヌルしたものを纏わせた指が、確かめるように尻を撫でる。もの凄く慣れないけれど、期待もしてしまう。指先が尻穴を通るとなんか、「今か?」「今なのか?」「違うのか?」というドキドキがある。  十分に濡らした指がとてもぎこちなく入って来た時、俺は不意打ちで「ひゃん!」という情けない声があがった。 「痛くない?」 「痛く……ない」  違和感はあるけれど、痛いわけじゃない。指がぬる~っと出入りしている感じはわかる。時々捻ったり、中で指を曲げられたりもしている。  そういえば、中にめちゃくちゃ気持ちいい場所があるって、書いてあったな。 「涼太、前立腺って分かるもんなの?」  疑問に思って聞いてみると、涼太は顔を真っ赤にして、躊躇いながらも頷いた。 「えっと……多分、ここだと思う」 「っ!! あっ、あぁ!」  涼太の指が中から腹側にある部分を刺激した。その途端、腰が痺れて蕩けそうで、頭の中までビリビリした。体も熱くなって、涼太の指ごと入り口が窄まった気がする。 「あっ、気持ちいいの?」 「やっ、そこダメだ、てぇぇ!」  繰り返し何度かそこを擦られた俺は腰が砕けそうになっている。そのくらい気持ちいいし、ちょっと怖い。自然と腰が浮いてしまっている。  指が知らない間に二本になっていた。中を広げるようにされて、時々前立腺を刺激されて、もう訳が分からなくなっている。ただただ気持ちよくてたまらないんだ。 「はっ、んぁ、あぁんぐっ、ふぅぅ!」 「柔らかくなってきたよ、一馬」 「ひゃぁ! あぁ、もう、良いから入れろって! このままじゃ俺、腰溶ける!」  もう、指が何本とか、どこが気持ちいいとか、どうでもいい。全部が気持ちいい。触れている部分全部だ。  指が抜けて、ちょっとあって、ピッタリと後ろに熱を感じる。ヌルヌルのそれが狭い入り口に押し入って来た時、俺は流石に悲鳴を上げた。  痛くてたまんない。指なんかとは違う質量だ。 「ごめん、一馬……少しだけ、我慢してっ」 「んぁ、あっ、あぁ……」 「息、止めちゃだめだって」 「分かってるけど!」  息止まるんだから仕方ないだろうが!  涼太の手が前に回って、俺の萎えた息子を握り込む。そして優しくあやすみたいに扱きだした。 「あはぁ、あっ、それダメ、気持ちいぃ」  後ろの痛みを忘れる事は出来ないけれど、前は気持ちいい。直接的な強い刺激に徐々に力が抜けていくと、ズルンとそれは入り込んだ。 「はぁ! あっ……あぁ? はい、た?」 「入ったよ、一馬」  嬉しそうな涼太の声に、俺も嬉しい。もの凄く苦しいけれど、逆に言えばそれが繋がれた証拠でもある。俺の腹ん中に、涼太がいる。 「暫くこのままにしよう。辛いよね?」  優しく声をかけられて、バックのままキスをする。片手は俺の昂ぶりを握ったまま、時折扱いて刺激してくる。俺の腹の中、今キュッと締まった気がする。 「涼太、辛い?」  凄く我慢してるみたいに眉根が寄るのを見る。汗、すごいな。これ、夏で暑いからってだけじゃないよな。  涼太がにこっと笑う。そして俺の背中とか項とかにキスをするんだ。 「大丈夫だよ」 「もっ、動いてもいいよ?」  さっきよりも痛くないし、どっちかというと扱かれて気持ちいい。それになんか……涼太が入り込んだ辺りからその奥の方がムズムズする気がする。  ゆっくりと少し抜けた熱い塊が、同じくらいの時間をかけて入ってくる。さっき感じた気持ちいい所を擦られてゾクゾクが止まらない。気持ちよくて喘いで、涼太にしがみついた。 「一馬の中、熱くて気持ちいい」 「俺、も。涼太の、熱い」  ベッドに突っ伏して腰だけ上げて、我慢出来ずに腰が動いている。  中、変な感じ。まったく辛くないわけじゃないけれど、圧倒的に気持ちよくなってる。  徐々に激しく動かれたら、奥にゴツゴツ当たる。下から内臓を押し上げられるような不快感の他に、当たる度に痺れる。それが少しずつ、何か広がっていく。  涼太がまた前を扱きだして、その気持ちいいも一緒に混ざっていって、射精したいのと中が熱いのと、前立腺気持ちいいのとがぐちゃぐちゃで分かんない。奥も気持ちいい気がするし、何か胸もジンジンする。 「乳首、尖ってる?」 「ひぐっ! んあぁ!」  不意打ちで乳首を摘ままれて俺はビクンと腰を揺らした。奥、締まってる。あぁ、これ気持ちいいんだ。こいつの事すっごく締めつけて、離さないってしてる。変な感じ、頭がぼーっとして、なんか、もう…… 「あっ、あっ、もっ、イッ……たいぃ」  怖いくらい、せり上がってくるものがある。腹の奥、腹の底からなんか凄いのが押し寄せようとしてる。ゴツゴツ奥を抉られて俺、イキたくなってる。 「っ! 一馬、ごめ……」 「やっ! あぁ!」  パンパンと打ち付ける様な腰使いに、目の前がチカチカした。一緒に前も扱かれて、バカみたいに大きな嬌声が上がった。  体が全部心臓みたいで、バクバクしてる。頭ん中真っ白で、腹の中が熱い。腰が跳ねるのが止められない。  そんな俺の中で、涼太もイッたんだと思う。ビクッと震えるのが、なんとなく伝わってくる。  俺、こいつとセックスしたんだな……  そういう実感が、ひしひしと胸に染みてきた。
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