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花火は結局見られなかった。多分外で打ち上がっていたけれど、改めて見ようという気力はなかった。
風呂に運ばれて洗われて、その間に涼太はシーツを洗濯機に放り込んで新しくして、今はそれぞれの布団でゴロゴロしている。
「なぁ、涼太」
「なに?」
「後悔とかさ、ない?」
なんとなく、ふと浮かんだから聞いてみた。
俺はない。少なくとも、したいって言われたらOKする。
でも、涼太はどうなんだろう? ふと気になったんだ。
涼太はなんだか怒ったみたいな、悲しいような顔をしている。じっと、俺を見ている。
「後悔してるの?」
「してない。でも涼太はどうなんだろうって。また、したい?」
「当たり前じゃん! ずっと、一馬とこうして抱き合えたらいいなって思って、俺……」
「……もしかして、俺おかずにしてた?」
途端に真っ赤になった涼太が、小さく頷く。こういう顔が可愛いって思う時点で、俺もだいぶだな。
「気持ち悪い?」
「んな事思ってたら、セックスしてないだろ」
「セ! あぁ、うん、そうだよね。あれ、セックスだよね」
「他の何だってんだよ」
涼太はますます縮こまる。さっきまでエロい男の顔で俺のケツ掘ってた奴とは思えない反応だ。
「気持ちよかったよ」
「え?」
「涼太とのセックス、気持ちよかった」
伝えたら、尻尾振り回すように振ってる犬みたいな、嬉しくて今にも飛びつきたい顔を涼太はする。でも正直今日はもう腰がバルスだから勘弁してくれ。
「俺も、気持ちよかった!」
「そらよかった。次は交代だかんな」
「うん、いいよ。俺、ちゃんと慣らしておくね」
「そこまでいらないっての!」
俺の可愛い幼馴染みは、すっかり大人のエロ野郎へとクラスチェンジしてしまったみたいだ。
まったく、やれやれだぜ。
END
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