THE 持ってる女

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「いったい誰がアタシ達を妬むって言うのよ? 妬みこそすれ妬まれるなんて絶っ対に 有り得へんわ!」 と、ゴシップ雑誌から目も上げずに、 ママは言い放った。 ついで、 「そりゃ劣化だってするわよっ、アンタぁ いっそのこと電子レンジでチンしちゃいなよ」 なんて、短絡的な意見を繰り出すママに対して、 「電子レンジだなんてそんな金、どこにあるって 言うんだよぉー」 と、頭を抱え掻きむしるパパパ‥‥パパの パニクりぶりは悲壮感の高みに到達する。 パパの癖は、困ったらやたら髪を掻き回すこと。 「オーマイガー誰かぁ誰か力を貸してくれ〜〜」 その声はこだまのように鳴り響いた‥。 そんな好対照な2人を交互に見比べながら、 「はぁ〜〜?ウチってホンマに正真正銘の 貧乏やないかい⁉︎」と子供心に確信した、まさに その時だった‥。 ウチの店『ピッツェリア☆ヒロシ』の 引き戸がガラガラっと開き、一陣の風を纏いながら 現れた一人の男。 私達親子の視線の先には、 長い髪を一つに束ね、顔色はまあまあ優れない、 首に巻いたバンダナとテンガロンハットに レザーパンツをコーデした、 なんだかなぁゾクっとさせる目つきの カテゴリー的には、いい男が約1名。 え〜〜〜っとぉ?名前は何だっけ? あ、あ、アレだよ?アレ? ヒトが途方にくれた時、その波動と匂いを 嗅ぎつけて何処からともなくやって来るという、 あのヒト? ちょっ待てよ、ま、まさか‥‥あの‥‥ 伝説の‥そうさ! アイツが サスライの便利屋さん★ジョニー・ビッぷ、さ! 母娘(おやこ)間☆以心伝心のワザで、 子供ながら、アンナマリアは、 その場の状況を把握した‥。
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