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「おかわり。」
だんなは、悪びれもせず、にこにことして、茶碗を差し出す。
テーブルの横にある電気釜から、しぶしぶ、茶碗に、ごはんをよそう私。
だんなは、私から、茶碗を受け取りながら、「浮気って、どういうこと?」って、聞いてくる。
なぜあなたが、わたしに質問をするの?
「だから、ボーイズラブでしょ?」
もう言葉の意味わかっている?
だんなは、わたしの質問を無視して、黙々と、食事を続ける・・・。
仕方がないので、言いたくないけど、はっきりと聞く。
「その・・・、男の人とそれなりのことをするってことでしょ?」
きょとんとするだんな。
「やだな、そんな・・・。浮気なんてしないよ。」
へっ?どういうことですか?
「男の人とボーイズラブみたいな恋愛がしたいんだ。」
「一緒にカフェでお茶を飲んだり、映画を見たり、同人誌みたいなシチュエーションで。」
だんなは、うっとりとして、どこか遠くを見ているようだった。
それって、女の子が、少女まんがのような恋愛が、したいって思っていることと、同じこと?
そういえば、だんなは、胸キュンな作風が好みだったような・・・。
「もちろん、そういう人が、出来たら、会わせてあげるね。」
私に、紹介するのですか?
「ごちそうさま。言ってくるね。」
私が何か言う前に、隣の椅子の上にあった自分の黒のリュックを背負って、だんなは、食後のお茶も飲まずに、うきうきとした足取りで、会社へ出かけてしまった。
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