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それからも、俺は青春の意味を探し続けた。
夏休みが終わり自由研究のレポートを提出しても、「観点が面白い」と教師にウケたという噂を聞いても、お構いなしで青春の意味を調べつくした。
自分が納得する答えを探して、青春を探す。
そこに答えはあるのか?
そもそも青春というのは「熱くなれるもの」「夢中になれるもの」「若いと感じるもの」など人によってさまざまだ。
それらを総称する一つの言葉が存在するのか?
存在するとしたらどんな言葉?
前久保も永元も自分の「青春」を見つけ、俺だけは青春を見つけられないままかけまわった。
答えが見つかれば、それでいい……。
そんな希望をかかえながら。
そしてある日、俺は気づいた。
青春の意味を探している時の俺は、青春を感じているって。
俺にとっての青春は、青春について調べている時なんだ。
変わっているかもしれないけど、青春の価値は人それぞれだ。
「あのさ……。」
俺は隣に座っている前久保と永元に声をかける。
「どうした?」
「何?」
そう聞く二人に、俺は言った。
「俺も、『青春』見つけた。」
Fin
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