青春の意味

7/12

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
「はじめまして、寺野三冨(てらの みふ)です。よろしくお願いします。」 翌日に紹介されたのは、三人の女の子。 初めにあいさつしてきたのは、豪華なお嬢様といった雰囲気のおとなしそうな子だった。 「三富はたしか、オカリナに青春をかけてるのよね?」 オカリナに青春? 「そうよ。オカリナはやっぱり素敵!」 「オカリナを練習してると、ああ青春だなあって思う?」 「思うわ。」 「年をとっても、オカリナを吹いていると青春だなって思うかな?」 「思うんじゃない?」 「ありがとう。じゃあ、安岐(あき)。」 「はーい!」 小麦色に日焼けした活発そうな黒髪の女の子が返事をした。 どこから見てもスポーツ少女で、元気っ子なイメージだ。 「安岐です!スイミングで青春してます!」 スイミング? それでこんなに日焼けしてるのか。 「スイミングはオリンピックの競技でもあるし、まさに青春だよ!夏の日に水の中に飛び込んで泳いでると、すごい青春だもん!」 「年をとっても?」 「年を取ったら泳げないよ。でも、高齢者なりに青春というか、楽しみはあるんじゃないかな?」 「了解。今の二人は、得意なことと部活に青春してたわ。はい、メモとって!」 俺はあわてて手帳を引っ張り出し、メモする。 「次の子は、枕辺(まくらべ)さんね。」 「枕辺ゆの、です。」 「ゆの~、どういうときに青春するんだっけ?」 「当然、恋してるときよ!彼氏とか素敵すぎるし!」 中一で……彼氏? 「バレンタインデーに本命チョコ渡したり、卒業式に告白したり!そういう瞬間、もう本当に若い時しか経験できない青春でしょ?とくに私は……。」 つきあっている相手とのストーリーを、次から次に語りだした。 青春のすごさは伝わってきたが、メモする気にはなれない。 俺たちは早々に退散した。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加