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「はじめまして、寺野三冨(てらの みふ)です。よろしくお願いします。」
翌日に紹介されたのは、三人の女の子。
初めにあいさつしてきたのは、豪華なお嬢様といった雰囲気のおとなしそうな子だった。
「三富はたしか、オカリナに青春をかけてるのよね?」
オカリナに青春?
「そうよ。オカリナはやっぱり素敵!」
「オカリナを練習してると、ああ青春だなあって思う?」
「思うわ。」
「年をとっても、オカリナを吹いていると青春だなって思うかな?」
「思うんじゃない?」
「ありがとう。じゃあ、安岐(あき)。」
「はーい!」
小麦色に日焼けした活発そうな黒髪の女の子が返事をした。
どこから見てもスポーツ少女で、元気っ子なイメージだ。
「安岐です!スイミングで青春してます!」
スイミング?
それでこんなに日焼けしてるのか。
「スイミングはオリンピックの競技でもあるし、まさに青春だよ!夏の日に水の中に飛び込んで泳いでると、すごい青春だもん!」
「年をとっても?」
「年を取ったら泳げないよ。でも、高齢者なりに青春というか、楽しみはあるんじゃないかな?」
「了解。今の二人は、得意なことと部活に青春してたわ。はい、メモとって!」
俺はあわてて手帳を引っ張り出し、メモする。
「次の子は、枕辺(まくらべ)さんね。」
「枕辺ゆの、です。」
「ゆの~、どういうときに青春するんだっけ?」
「当然、恋してるときよ!彼氏とか素敵すぎるし!」
中一で……彼氏?
「バレンタインデーに本命チョコ渡したり、卒業式に告白したり!そういう瞬間、もう本当に若い時しか経験できない青春でしょ?とくに私は……。」
つきあっている相手とのストーリーを、次から次に語りだした。
青春のすごさは伝わってきたが、メモする気にはなれない。
俺たちは早々に退散した。
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