青春という言葉

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で、この前久保と俺は、二人がかりで教師を怒らせることがよくあった。 その方法は、たいてい同じ。 まず俺が叱られ、前久保がちょっかいを出す。 ちょっかいを出した前久保を先生が注意し、前久保が注意に対して口答えをしたりツッコんだりする。 しかもそれを丁寧な口調でなおかつニヤニヤしながら言うものだから、相手はますます頭にくるらしい。 そしてさらに俺が、先生の失敗をからかう。 これで、向こうは完全に頭にくるのだ。 今回も、先生は俺に話しかけた前久保をにらみつけた。 「君もだ。叱られている人間にちょっかいをだすんじゃない。一緒に叱ってやるから立ちなさい、えまくほ君。」 「えまくほではなくてマエクボです。」 いつも通り、前久保が丁寧な口調でツッコみをいれた。 ちなみにだが、前久保の下の名前は信人(のぶひと)だ。 しかしイメージに合わないのかなんだか分からないが、誰も前久保を下の名前で呼ぼうとしない。 そして俺はいつもの手口で、先生をからかった。 「うっわー、前久保なんて簡単な字も読めないんだ?よく教師になれたよなー。あっ、もしかして、ハゲ頭が威圧感とえらっそーな雰囲気を与えたのかな?」 ついでに向こうの弱点もくすぐってやる。 案の定、先生はゆで卵からゆでダコに進化して怒鳴った。 「なっ、何を言うか!!失礼な!こっ、この私が……ハゲだと!!!?」 「何を言うかって、せんせーの頭がハゲてるって言っただけじゃん。なあ?」 「ああ、事実は言ったけど失礼なことは言ってない。」 「なっ、なっ、なっ……。」 プルプルと震えだした。 ヤバ、重傷だぞ、これは。 「お前たちっ、後で存分に説教してやるから廊下に立って待っていろ!!!!!」 ……結果こうなる。 まあ、いつもの事だ。
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