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「な 何を言い出すんだ! 俺たちは清らかな交際を……彼女がそれを望んだんだ。楽しかったよ、とても。お茶を飲んで、絵画展に行って。時にはプラネタリウムとかさ」
(行くとこ、間違えてるよーー)
「けれど……彼女はあまりに清らかすぎて修道院に入ってしまった」
(えええええ??????)
頭の中で、絶句。
(ハルもハルだけど、そのジュディってのも頭おかしいだろ! こんないい男そばにいて、修道院?)
「で、それっきりなの?」
「2週間くらいしてハガキが来たんだ。今いる修道院の世話してくれてる人が病気になったって。入院費に困ってるって言うから、金持って会ったよ」(ちょっと待て! なんだ、その展開は!)
「いくら渡したの!」
「その時は学費と生活費しかなかったから、取りあえずそれだけ」
リオの口はポカンと開きっ放し。
「それって……騙されたってこと?」
「何言ってんだよ! 彼女は真面目な子なんだ。勉強がある俺に悪いって、それきり会うのを諦めたくらいに真面目な子なんだよ」
(それを騙されたって世間では言うんだよ、ハル)
この先輩はどんだけ世間の裏を見てないのか。
「相手の子。名前教えて。修道院の場所も」
「ジュディ・ゲイリー。修道院は聖フランシスコ修道院で隣町の……なんで聞くんだ?」
「別に。なんとなく。それからどうしたの?」
「しばらく体を動かすことで忘れようとして」
「それがテコンドー?」
「ああ。習いに行く金も無かったからパソコンで調べて」
「ちょっと待てよ! 話についていけない! ネットであんな技覚えたっていうの?」
危うく落とされそうになったのは、夕べ。意識もないこのハルに自分はやられたのか?
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