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「もう1杯! 飲めよ、ハル!」
「もう俺は飲めらい……」
あれから嫌がるハルを引っ張り出して、今日はこれで2軒目。
(これから悪い遊びをたっぷり教えてやる!)
と、もうこれで4日は連れ出してる。
朝は死ぬほど後悔して、夕暮れにはリオにそそのかされ、また朝には酷いことになっていた。
「いいから、グッと行けよ! そして今日から第二の人生だ。僕が道案内するからさ!」
「第二の人生? いい話してんじゃねぇかよ」
(げ! この前のヤツだ!)
ハルを見ると完璧に酔っぱらってる。ハルはよろけて立った。
「おまえ いるも なんなんらよ そんらに おれ からかっれ たろしいか」
リオは飲み慣れてるからこんな修羅場も乗り越えてきてる。でもハルは……と思ったら、きれいな一発を決めた。思わず見惚れる。そしてハルはそのまま床に転がって眠ってしまった。
定例の朝。青い顔のハルと、笑うリオ。
「酔っぱらうの、慣れてきたろ?」
「やめてくれ……声がでかい」
そう言うとまたベッドに倒れ込んだ。
ハルは目を閉じたままリオに言った。
「お前、修道院に行ったんだろ? 俺をバカだと思っただろ」
「……何もかも知ってたんだね? そして金を渡したの?」
「そうだよ。分かってたよ。でもそんなこと無いって思ってた。あの金の出どころはどこなのかも。本当はみんな知ってるんだ。お前さ」
「なに?」
「本当に俺とエジプトに行くか?」
「ああ、行くよ。ハルと一緒に」
「そうか……ありがとな。勉強は俺が面倒見てやるよ」
けれど。それから2週間は勉強に手を付けられなかった。リオに町中のパブやらバーやら連れまわされたから。
リオはハルの謎も金の出どころも全部突き止めてやろうと思っていた。まだまだハルの受難は続く……
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