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(違うって! ちょっかいじゃ無いって!)
抑え込まれてじたばたしても、酔ったハルの力は緩まない。必死にその腕を叩くリオ。
(ハル! 目を覚まして! 僕、落ちる! 落ちるってば!)
本当に落ちかける寸前で、やっとハルの力が抜けた。
(死ぬとこだった……)
翌朝、自分の腕の中で死んでいる僕を見たらどんな顔をするんだ? そう思った瞬間。またハルの手が伸びた。
(逃げそこなった!)
今度抑え込まれたら、本当に自分は死んでしまうかもしれない。リオは覚悟して目を閉じた。
ハルは夢を見ていた。力いっぱいにこじ開けた棺桶の中。そこに完璧な姿のミイラが横たわっている。
笑顔を浮かべ見とれながらミイラを撫でまわす。
(ハル…… 僕、蕩けそう……)
優しく抱きしめられながら頭や頬を撫でられているリオは、呆けた頭でそんなことを思っていた……
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