don't cry ― 完 ―

４．解放されたハル

　リオは今、めちゃめちゃ忙しい。
（もしかしたら人生で一番忙しいかも）
こんだけ多忙なら一気に若さを持っていかれそうな気がする。
　リストが出来ている。

・ハルの出生の謎を突き止める（余計なお世話だ）
・ハルに来る定期的な送金を調べる（もっと余計なお世話だ）
・ハルの性生活を調査する（さらに余計なお世話だ）
・ハルの生態を調べる（おい！ほっとけ！）
・アラビア語を習得し、習得させる（これはいいことだ）
・エジプト行きの話を具体化する（単にハルと旅行したいだけ？）
・そのための金を捻出する（どうやって？）

　とにかくリオはハルが気になるし、心配で仕方がない。昨日の話を聞いてからは特にそうだ。あの実態を知っているのは多分自分だけだろう。
（何とかしなくちゃ！）
焦りが出ている。

　ハルの出生を調べるには、きっと定期的な送金について調べるのが早いだろう。きっとその２つは密接に関係している。そしてそのカギを握っているのは、きっと教授だ。だからこそ『使っていいんだよ』その言葉が出る。
　ハルは『本当は知っているんだ』と言っていた。だから本人に聞けばいいかもしれないがリオはさすがにそこまでは無神経ではなかった。言えるものなら自分から言っているだろう。きっと苦しい思いをしているのに違いない。

　性生活と生態については、余計なことをせずにハルにつきまとえばいい。そうすれば実態が見えてくると思う。
　金は……これはまずハルと相談した方が良さそうだ。これまでの考えの中で一番まともな結論だ。　いつエジプトに行く気なのか。実現可能なのか。それが問題だ。

　アラビア語は気合でやっつければいい。