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その朝、ピヨちゃんはご機嫌だった。
秋の空はどこまでも青く澄み渡り、少しだけひんやりとした空気も爽やかに澄んでいる。
家を出る前にオーナーと壮絶な大ケンカをしたのがウソのようだった。
このオーナーとは、ピヨちゃんが仕える主人のことだ。
そう、ピヨちゃんは金色に輝くコロコロしたヒヨコだが何を隠そう、魔女の使い魔だった。
今朝のケンカのきっかけはほんの些細な意見のすれ違いであった。
「ピヨピヨピヨ!」
『いつもこんなに尽くしているのに、そんな言い方、ひどい!』
朝っぱらから興奮気味に、短い羽をパタパタと羽ばたかせ、激しく抗議するピヨちゃん。
しかし、この行動は意見を通すには逆効果だった。
低血圧で朝に弱く、何かと午前中はご機嫌斜めなオーナーの逆鱗に触れてしまったのだ。
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