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C×Cレイン 00×大雨
普段、青々とした芝生が広がる運動場は濁った藍色に染まり、土砂降りの雨に打たれて波打つように見えた。
のどかな風景を映すはずの窓ガラスには、ぼんやりと血色の悪い上半身が反射している。
その少し右に赤いTシャツの影が揺らめいて、血の気が引いた。
咄嗟に振り返る。
『へぇ、お前……』
胸元を隠すのを忘れて、立ち尽くす。
予測したとおり、彼は何の躊躇もなく私を見ていた。
そして、じりじりと歩み寄ってくる。
ひたり、冷たい手が鎖骨のくぼみに触れた。
他人の体温が皮膚に染みる。
彼は早鐘のように鳴る鼓動を感じとったのか、ふっと笑って蜘蛛のように手を這わせて右肩をつかみ、くるりと私の身体を反転させた。
間を空けずに冷ややかな指先が背骨をなぞる。
脇腹の辺りからゾクゾクと熱が這い上がり、その熱はやがて身体の芯に到達する。
そして――。
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