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佐野はとても真面目な生徒だ。
委員の集まりにはちゃんと来るし、私が頼んだ仕事はきちんとこなす。
そう、宿題するのを忘れたからと見せるように脅迫してきたり、掃除時間を雑巾玉野球に費やしたりするようなどっかの馬鹿男とは大違いなんだ。
「佐野」
変に響かないよう用心しながら佐野を呼び止める。
佐野は意外と冷静な仕草で振り返ったものの、その場で凍りついたように立ち竦んだ。
気持ちは分かるけど、その反応は困る。
私はこちらに来るよう大きく手招きをした。
佐野が鉄砲玉みたく駆け寄ってくる。
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