32人が本棚に入れています
本棚に追加
/414ページ
「こんにちは」
肩を上下させながら言う佐野の額には脂汗が浮かんでいた。
可哀想に。
彼のためにもこんな茶番はさっさと終わらせるべきだ。
「こんにちは。単刀直入に訊きます。あなたは中庭に行って何をしようとしていましたか?」
佐野は口を結んで躊躇うポーズを見せたけれど、すぐに思い直した様子でこう答えた。
「先輩に愛の告白をしようとしていました」
「そう」
明らかに棒読みな返答だった。
最初のコメントを投稿しよう!