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でも、やっぱりちょっとだけ頬が緩む。
不覚だ。
佐野が抵抗感を隠さずおずおずと手を差し出したので、私はそれにさっと手を絡めた。
ビクリ、佐野の手が震える。
「……恋人繋ぎ」
幽霊を見てしまったときのような声になってない声が耳に入り、再び募る申し訳なさを飲み込んで、私は強引に絡めた手をぎゅっと握った。
「この方が恋人らしいから」
「は、はい」
私は佐野に心の中で謝って、彼の手を引き、堂々と帰路についた。
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