C×Cレイン 01×狼狽

18/18
前へ
/414ページ
次へ
 でも、やっぱりちょっとだけ頬が緩む。  不覚だ。  佐野が抵抗感を隠さずおずおずと手を差し出したので、私はそれにさっと手を絡めた。  ビクリ、佐野の手が震える。 「……恋人繋ぎ」  幽霊を見てしまったときのような声になってない声が耳に入り、再び募る申し訳なさを飲み込んで、私は強引に絡めた手をぎゅっと握った。 「この方が恋人らしいから」 「は、はい」  私は佐野に心の中で謝って、彼の手を引き、堂々と帰路についた。
/414ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加