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「別に」
ぶっきらぼうにだけど震えた声で北崎が答え、迷子なのかと考える。
ここで実際に迷子なのかと問えば、ちげーし何言ってんだバーカ、と頭突きもしくは張り手をくらうのは簡単に想像できたので、ここからどう話を発展させるか私は考えに考えぬいた。
「私のお母さん、すぐに戻ってくるからってここに居るように言ってたんだけど、まだ来ないの。こういうときは総合カウンター前で待ち合わせしてるんだけど、一人じゃつまんないから北崎も来てよ」
全くの嘘八百だった。
本当は、万が一迷子になったらその場から動かずにお母さんが見つけてくれるのを待つよう約束していた。
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