C×Cレイン 02×記憶

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 そのあと、店員さんに名前と年を聞かれ、折り畳み式の一脚のパイプ椅子に私たちは座らされた。  いつもなら意地でも北崎といっしょの椅子になんか座らず立っているけど、ここでも相手は弱っているからと自分を納得させて大人しく北崎と肩を並べることに。  なんてお利口な小学一年生なんだろう。  間もなくしてピンポンパンポーンとよく通る館内放送がスピーカーから流れ、まさか迷子になっているとは思っていなかったお母さんが大慌てで私を迎えにきた。 「しずちゃん、お菓子のところにいなさいって言ったでしょ」  悪目立ちすることが大嫌いなお母さんは店員さんに挨拶するなり私を咎めた。  人前だからだいぶ優しい口調だったけれど背後に般若が見えたので、これは今日のおやつは抜きだなと小さく覚悟した。
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