C×Cメモリ

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 そうぐるぐる思考を巡らせている間も先輩は固唾を飲んで返事を待っていた。  俺は覚悟を決め、あの事をどうにか避けつつ話そうと重い口を開けた。 「どうして、ですか。先輩凄く真面目じゃないですか。勉強でも委員会でもなんでも真剣に取り組むところを前から尊敬していました。と言っても堅いというわけではなく柔らかい、というか優しいところもある素敵な人だなと」  と話してる途中で先輩はきょとんとした顔で首を傾げた。 「私が優しい?」  何故か納得いかない様子で些か焦る。 「優しいです。何故そこで疑問形なんですか?」 「だって私、特別優しいって言われたことない」  先輩は自嘲気味に笑った。
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