C×Cメモリ

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 あんな刹那的な触れ合いを一々覚えられるわけがない。 「はい。先輩、俺が通ってる塾の期間限定冬期講習に来てましたよね?」 「あぁ。確かに短期で塾通ってたことあるけど……」  先輩の瞳が追憶に彩られるも、それは間もなく宙を見つめた。  どうやら記憶にないみたいだ。  その様子がちょっと面白くて、俺は小さく笑い、口を開いた。 「あんな一瞬の出来事、覚えてられませんよね」 「……ごめんなさい」  先輩が眉尻を下げる。  その僅かにしょんぼりとした表情が愛らしい。
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