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「傘、ないの?」
不意打ちで話しかけられてビクッと肩が跳ねる。
振り向くと、俺の後ろに先輩は立っていた。
綺麗な黒髪のおかっぱ頭と切れ長の目が印象的だった。
服装がベージュのダッフルコートと紺のジーンズでなく白シャツに赤のスカートだったら、トイレの花子さんぽくなりそうだと思ったのはここだけの秘密だ。
独特な雰囲気に気圧されながら俺は返事をした。
「……うん」
我ながら小さな声だったと思う。
見知らぬ異性から話しかけられる機会が滅多にないから仕方ない。
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