C×Cメモリ

10/41
前へ
/414ページ
次へ
「駅まででよければ傘入ってく?」  困り果てていた俺に先輩が声を掛けてくれた。  その提案は天の恵みそのものだった。 「え……。いいの?」 「そう言ってる」  パサ、と先輩は自分の赤い傘を差し、隣のスペースに入るよう促した。  まさかの展開に口を一の字に結び、表情が硬くなる。  ここは甘えるしかないのは分かっているんだけど、気が引けて仕方がなかった。  女子といわゆる相合い傘をする機会は滅多にない。  自分の経験値不足が憎たらしい。
/414ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加