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「駅まででよければ傘入ってく?」
困り果てていた俺に先輩が声を掛けてくれた。
その提案は天の恵みそのものだった。
「え……。いいの?」
「そう言ってる」
パサ、と先輩は自分の赤い傘を差し、隣のスペースに入るよう促した。
まさかの展開に口を一の字に結び、表情が硬くなる。
ここは甘えるしかないのは分かっているんだけど、気が引けて仕方がなかった。
女子といわゆる相合い傘をする機会は滅多にない。
自分の経験値不足が憎たらしい。
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