C×Cメモリ

12/41
前へ
/414ページ
次へ
「そう。じゃあ、お願いします」 「はい」  先輩の手から傘を抜き取ろうと右手を動かす。  その時ふと目に入った指の細さに緊張を覚えた。  少しでも強く握ってしまえばはらはらと砕けてしまいそうだった。  そして絹のように白く滑らかな手に自分のそれをやんわりと重ね、慎重に傘を受け取る。  先輩が完全に離したのを目で見てから手に力を入れ、しっかりと柄を持ち、腕を上げる。 「じゃあ、そろそろ行きましょうか。遅くなっても危ないし」  という先輩の声を合図に歩き出す。
/414ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加