C×Cメモリ

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 先輩の持っていた学生鞄は家の近所にある中学校のものだった。  年上なんだ、と思った。 「ん? よく聞こえなかった。使わない?」 「え。あ、じゃあちょっとだけ使う、います」 「敬語?」 「ごめんなさい。年上って今気づ、きました」 「えっ年下? 小学生なの?」 「うん。俺、小六。」 「中学生かと思ってた。背高かったから」 「ため口、すみませんでした」  内心冷や汗をかきながら頭を下げる。  前髪から雨の雫がポタリと落ちた。
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