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私は靴の真ん中に挟まれたメモ用紙をブレザーのポケットに入れて、上履きから靴に履きなおし昇降口を出た。
ロータリーを右に行き、中庭の方面へ続いている小道をやや歩いて、人気が少なくなったところでメモ用紙を確認する。
中身が見えないよう器用な折り方がされてあるそれは、真ん中にわざとらしいハートマークが描かれていた。
0.3ミリの赤インクボールペンで書かれた雑な線は明らかに北崎の筆跡。
内容に関して大体の見通しをつけ、まどろっこしい折り目を解いていく。
『深月さんのことが好きです。中庭で待ってます』
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