人魚病3

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最初は多分、温泉から取り寄せた“湯の花”の入浴剤を使い始めた事だったと思う。 きらきらとした結晶を見て、この人はこんなところまで鉱物の様な結晶が好きなのかと驚いた。 その後もよく分からないことが続いて、それで何故かこんなことになってしまっている。 つまりどういうことかっていうと、俺を買った人が毎日俺の足を特性のオイルだか何かでマッサージしているのだ。 意味が分からない。 最初はそれをした方が駄目になる足の部分が綺麗な石になるのだと思ったし、そう聞いた。 けれどあの人はなんとも形容のしがたい表情をしただけだった。 再発した部分の断面は中の肉がうっすらと透けて見えてお世辞にも綺麗とは言えない。 いくら石のコレクターだとはいえ、そんなもの見たくは無いだろうに。 それなのに丁寧に残っている太ももの部分と反対側の足をマッサージされる。 それが、この病気の進行を遅らせるかもしれないと噂されていることを、つい最近ようやく知った。 そんな民間療法したところで意味がないこと位、よく分かっている。 そんなものでどうにかなるのであれば俺はそもそもこんなところにいない。 それに、この人は病気の進行こそ願っている筈ではないのだろうか。
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