孤独な二人は

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孤独な二人は

   プロローグ  ある日、政略結婚(せいりゃくけっこん)の話を親父が持ち出してきた。  十二畳ほどの広さのある部屋にガラステーブルが設置されていて、向かい合うように二人用のウォールナット材と本革のソファーも設置されてある、何とも高級感に仕上がったモダンなインテリアだ。呆れるほど広い部屋で静かな父の声はよく響いた。  部屋には家族全員が揃っている。父の隣には母がいて、事の真剣さは手に取るように伝わった。俺の隣には状況を理解できない幼い妹がいた。  当人、沙悟浄政宗(さごじょうまさむね)はすぐには状況を理解出来ず途方に暮れている。しかし立ち上がり際に噛み付くような目つきで強く反論をする。同時にガラステーブルを強く叩いた。  するとあまりの勢いの良さに、側にいた妹が泣き喚いた。普段の政宗なら直ぐに泣いた妹を宥めに行くが、今回ばかりはそんな事も忘れるくらい大事案で、興奮しきっていた頭の中はほぼ真っ白だった。  なにせ政略結婚だ。望んでもない、むしろ頑なに拒否したいくらいだ。だがしかし、何処の誰と結婚するのかは既に予想がついていた。  それはおそらく雑賀(さいか)家。親父はよく雑賀の話を政宗に聞かせていたから想像ができたのだ。
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