孤独な二人は

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 ◆◆◆  夜は更けた。自宅前の暗がりの中で政宗は、助力をしてくれた西本徹という親戚と一緒に荷を整えていた。  服は安物の私服、着慣れないが気持ちは良い。もう背伸びをしなくても誰にも咎められない。  準備は万端だ。生活資金はアルバイトで調達した、生活必需品は既に購入した。住む場所ももう用意がある。徹が持っているマンションの一室を借りることが決まった。しかも都合が良くなるまで住んで良いと言われ、とても助かった。  政宗は全ての荷物を背負い徹にお礼を言おうとしたが。 「なぁ、本当に家出するのか?やめた方がいいんじゃねぇか?もう一度話し合えば・・・・・・」  出発際に徹は政宗に問うた。政宗を心配しての一言であると思われるが、その気持ちを素直に受け取ることができなかった。 「今更引き返せません」  表情は暗くとても冷淡な返事であり、徹はそれから何も言うことができなかった。  ありがとうございました、と言い、徹に背を向け街へ向かった。早くしないと勘付かれ追手が来る。なるべく人の多い所を通った方がいいだろう。  しかしその時、自分の発言と表情を振り返る。 「何俺は当たってんだ・・・・・・」  深刻そうに頭を押さえる。少々、自分は苛立ちを見せていたのかもしれない。今度謝らなくてはならない。  遠くない距離を歩いた頃に、街の明かりが見えてきた。目的地までは近くはないから何か腹に納めた方がいいと思い、政宗はファストフード店を探しはじめた。知り合いと出会う気分でもなく、会うことも避けたいから、学校から近い場所や家から近い場所は避けた方が安全だ。  しばらく歩き、普段あまり利用しないファストフード店を見つけた。中に入ると人は疎らで、知り合いは一人もいない。テイクアウトでハンバーガーのみを颯爽と注文を済ませ逃げるように店を出る。  大の坊ちゃんがはしたなく、歩きながらハンバーガーを頬張ったのだが、多分生まれて初めての経験だろう。  仕事終わりの社会人たちが多く歩く大通りは、夜にも関わらず営みや賑わいを見せ、街頭や電光掲示板の明るさはまるで昼間のようだ。  人混みの間を縫い人通りの少ない裏道をくぐり抜けると、見慣れない街並みが見えてきた。  この道であってるよな。と内心不安になりつつ、携帯に保存した地図を見ながら歩いていると────。
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