不可抗力

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今朝はまた痴漢に遭ってしまった。 車両を替えてからは無かったのに……。 だけど今日は気になっている彼が、私のことを助けてくれたのだ。 痴漢の足を踏みつけて、何を言ったのかはわからなかったけど脅して追い払ってくれた。 もうきっと痴漢は現れないだろう。 もし現れたら、その時は自分で撃退できるようにしなくちゃ! 明日彼に会えたらきちんと向き合って、話ができるといいな。 そんなことを考えながら会社に到着。 タイムカードを押したと同時に課長から話しかけられる。 「初瀬!今日はちょっと遅いんじゃないか?」 「電車が遅れてきて……すみません」 『始業時間前だし遅刻じゃないんだから』と、心の中で呟く。 「早速だが、出張の準備は整っているか?」 今週末から課長と2人で、1週間ほど出張の予定が入っていた。 「はい、準備出来ています。あとは新幹線のチケットを……」 「実は先方から連絡があって、トラブルのために出来るだけ早く来て欲しいそうだ。」 「じゃあ、チケット取り直しですね。出発はいつですか?」 「俺は今立て込んでいるから直ぐには行けない。初瀬だけ先に行ってくれないか?明日の朝イチでな」
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