新たな一歩

2/3
前へ
/27ページ
次へ
あの悪夢のような失恋から1週間が経った。 私が好きだったのは、幼馴染みのカイくん。 子供の頃から仲が良くて、一緒にいるのが当たり前だと思っていた。 就職してからは学生の時みたいに毎日会えるわけじゃなくなったけど、お互い仕事しているから仕方ないし。 たまに一緒に食事したりしてたから、これってデートなのかな?なんて思っていた。 お互いの気持ちを確かめたことはなかったけど、気持ちは通じてると思っていた。 私はきっと心の何処かで待っていたんだ。 カイくんから「好き」って言ってくれるのを。 だから1週間前にカイくんからの「会って話したいことがある」なんてメールに、ちょっと勘違いして期待しちゃった。 「彼女ができた」なんて紹介してくれちゃって。 カイくん私の気持ちに気付いていたよねきっと。 それなのに……酷いよ……。 この1週間は仕事に打ち込むことで失恋の辛さを乗り越えようとしていた。 いつもの様に通勤電車に乗り、特に変わったようなこともなく毎日を過ごしていた。 そんなある日、電車の中で視線を感じて振り向くと1人の男の人と目が合ってしまった。 いま私、見られていた? まさか……違うよね。 以前、痴漢に遭ったことが何回かあって、気持ち悪いから乗る車両を変えたんだけど。 それ以来、痴漢には遭っていない。 その男の人は私が降りるひとつ前の駅で電車を降りて行った。 それから毎日、その人が気になって、つい見てしまうようになっていた。 何度か目が合ってしまったけど、いつも離れた場所に立っているから接触することはなかった。 どうして私のこと見てるの? もしかして……服装が変だって思われてるの?
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加