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この誰にも見えず
誰にも聞こえない場所で
なんと
どこからともなく集まった
船影らが
あの難破船の周りをゆっくり旋回し始める
いつ沈んだかもわからない
その泥濘みに埋もれた
鯨の様な鉄の塊は
まるで神聖な塔の様に
神々しさを増す
嗚呼
悠久の時の流れの中からすれば
生命のなんと儚き事か
嗚呼
永遠とも匹敵する時の中からすれば
その悲しみも
その苦しみすら
なんと稀少な瞬きに感じられる
たとえ
瞬きとはいえ
強大な光を放つ 命
ガガガ…ガッゴーン!
難破船の下の地盤が揺れた
沈没船はいずれ浮上する
例えば
すべての者に
忘れ去られたとしても
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