難破船 鯨號

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其処は悠久の海の底 いったい何時からだろう 誰も知らない きっと この惑星が生まれた時からの海の底 とても静かで穏やかな暗い海の底 清廉とは言えないその場所は濁っている 正確には濁りと澄みが 沈澱により分離される場所 おおよそ陽の光には見向きもされない場所 海上に住む者たちには ほぼほぼ闇と思われる その深海の底 命ある者とは限らず 底に棲む者にとって  いくらか視界を確保できる 反射 が存在する それが光と呼べるものかどうかも定かではない カッコーン… 8200a335-a47f-4606-8b42-44a97694a3b0 闇と静寂と沈殿物の堆積と たぶん数万フィート上部にある海面から 長い年月をかけて降り注いだ沈殿物は 酸化し、腐食しながら カビやバクテリア ありとあらゆるものに分解されながら 海の底に辿り着く カッコーン… カッコーン…カッコーン… この深海の底の地熱は高温で それが地殻マントルの近さを物語る 不思議とその水温に耐えうる者も居た
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