難破船 鯨號

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当然ながらその微粒子は かつて躍動していた物のなれの果て かつて無機的だった物であれ かつて有機的だった者であれ 躍動していたモノの残骸 かつて生命力に満ち溢れていたモノの残り滓 悲しいかな 降り注ぐ微粒子に  悲しみ  などは存在しない 4a75264e-e98b-44c9-b5da-e0d45a1fbc42 その何かだった微粒子は 堆積して堆積して堆積し続け 汚泥の下部は恐ろしい重量で圧縮され 土になり石になり岩になる また石灰や他の物は珊瑚や何かになる フッ素になる物、亜鉛やニッケルになるもの 六価クロムになる物 さするに 嫌な匂いはいったい何にとっての 嫌な匂いだったのだろう そこにも 重圧に影響を受けないバクテリアがいて 汚泥をさらに分解、合成する カッコーン…
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