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中学からの友人…と言えば聞こえはいいが、ただの腐れ縁だ。
高校を卒業し、羽黒が大学に行ってしまえば縁も切れるかと思ったが…発情期を迎えてから続いている体の関係を、今になっても引きずっている
…唯一の救いは、こいつがβだったこと
いくら噛まれても番関係になりはしない。
「久しぶりだな、千寿!寂しかったろ?」
「…なんの用だよ」
3ヶ月振りに顔を見たそいつは、髪を金色に染め随分と印象が変わっていた。
元々堀が深くて色白だったからか、そこそこ似合っている。
「ん?…あぁ!そろそろかと思って」
「…何が」
羽黒の手がドアの隙間に入り、閉められないよう靴の先を押し込んだ
「お前の発情期。もしかして当たりだったか?発情してるだろ」
「…帰れ」
「は?なんで?」
「いいから帰れ。気分じゃねぇ」
「あ?発情してんなら気分の何もねぇだろ。
…他の奴に抱いてもらうつもりだったか?」
…どいつもこいつも…
俺を尻軽扱いしやがって…
「っ…めんどくせぇな…あぁ、そうだよ!
てめぇの気分じゃねぇんだ。さっさと帰っ───」
無理やり扉を抉じ開けられ、古びた金具が悲鳴を上げた
土足で上がり込んできたそいつに腕を取られ、床の上に押し付けられると…背中に回された両手首を自身の腰から引き抜いた紐状のベルトで縛られる。
痛ッ───
…っ発情してるΩにやることかよ
「っ…やめろ」
「んな睨むなって。実はこの間彼女にフラれちまってさぁ…すげぇ溜まってんのよ、このままじゃ欲求不満で俺の息子が腫れちまう。
な?相手してくれよ
…ぶっ壊れるほど、よくしてやるぜ」
「……死ね」
「おし、じゃ!昼間っからおっ始めるか!あぁ、そうだ。終わったらなんか飯作ってくれよ」
「はぁ!?やらねぇって言ってるだろ!お前俺をなんだと思って…」
有無を言わさず担ぎ上げられ、敷きっぱなしになっていた布団まで連れていかれる。
…昔っからこいつは何も変わらない。
16歳の春。
初めて発情を起こし、俺がΩだと知った途端…
ただΩを抱いてみたいという理由で、嫌がる俺を押さえつけ無理やり足を開かせた。
どうしたらここまで、自分中心になれるんだろうな…
それを…
だらだらと許してきてしまった自分も、一体何がしたいのか───
「お前軽いなー、下手したらユノちゃんより軽い。あの子胸デカかったからなぁ、勿体無いことしたわ…」
横に下ろされた布団の上で邪魔だと言わんばかりに捲り上げられたシャツの中を羽黒の手がまさぐる。
…ここで元カノの話をするかよ
デリカシーの欠片もない
発情しているせいで敏感になっている胸の突起を、狙ったように少し冷たい手が擦れるたび…ゾクゾクと背筋が震え身をよじらせた
「んっ…ッ…なら、女…抱きに行けよ」
「…お前もっと可愛いこと言えねぇの?」
「うる、せ……っ羽黒、なぁ…嫌だって」
「…俺が抱かなかったら、他の野郎のとこ行くんだろ」
…っそれはお前だろ。
やらせなかったら、会いに来る意味もないくせに
ギュッと指先でつねり上げられた痛みにビクつき、ズクズクと熱を帯びる身体の虚しさを縛られた手を握りしめ誤魔化した。
「…文句なら後で聞くわ」
先程より少し熱い手に髪を撫でられ、避けられないよう顔を押さえると…僅かに開いていた口に舌を捩じ込まれる。
手慣れたように動き回る、思い上がりなキス。
飲み込まれるような感覚に…力が抜けていく
結局また流される───
俺は一体いつまで、同じことを繰り返して…
「早く下脱げよ、入れたくて我慢できねぇ…」
獲物を追い詰めたような欲深い羽黒の瞳に、Ωの本能が確かに震えた。
期待してしまっている自身の体に酷く嫌悪し…決して報われない思いに、強く舌を打ち付ける。
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