番外編 三萩と過去

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「お前さぁ…好きだよな、俺の顔」 「……は?」 「っと…体もか、ガキの頃から俺の頼みは何だかんだ受け入れてくれるもんな なぁ…金髪もどうよ?彼女がしてほしいって言うからやってみたけど…以外と良いだろ。惚れ直したか?」 「…それでっ、振られてんなら… あんま良く、なかったんじゃねぇの…」 「ッ…違ぇよ。振られたのは、三股してたのがバレちまったからだ。染めたときはカッコいいって喜んでくれたんだぜ どうだ?似合ってるだろ」 「っ…ンッ…いいんじゃ ね?ハッ…お前が、いいっ…なら」 「適当だなぁ…千寿がどう思ってるか聞いてんだけど」 「ンンッ…うるさッ…ぁ、も…動き、ながらッ喋んな!っ…はッ…そこっ、やめッ…」 徐々に早くなる腰の動きに、体が激しく揺り動かされる くの字に折り曲げられ、押さえ付けられた体勢では逃げようもなく…与えられる快楽に情けなく喘いでは、震える手でシーツを握りしめた 「…なぁ、しばらくここに泊めてくんね?彼女の家追い出されちまうわ、浮気は張れるわで今相手がいねぇんだよ。 お前、発情期の間は仕事休んで家にこもってんだろ?大学行ってる間は構ってやれねぇけど…夜になったら満足するまで抱いてやるし…良い案だと思わねぇ?」 「なッ…てめっ…ンッ…なに、勝手にっ…!」 「いいだろ?お前も抱いてもらう相手探す必要なくなるし、一石二鳥じゃね?」 「っなこと、頼んでっ…んンッ!やめっ…も、入らなっ…」 一度ギリギリまで抜き出したモノを、ゆっくりと奥深くまで差し込んでいく。 コツコツとその(つぼ)まった壁を何度も叩くたび、千寿は身を震わせて快楽から逃れようと身を引いた …脚を取り押さえ、自身を奥へ奥へと押し込もうとする… その壁を抉じ開けたかった 「ぅ…やッぁ…羽、黒っ…しつけぇっ…そこッやだっ…て」 根を上げ始めた千寿を見下ろし、涙で濡れている目元を軽く拭う。 実は甘えたなこいつが、優しくされるのを望んでいるのは知っていた。 少し優しく触れてやれば、随分と大人しくなることも… 所詮βでしかな自分には、千寿の全てを手に入れることは出来ない。 Ω相手にβが本気になっても意味がないし、お互い体目的のお遊び程度が丁度いい… それでも…他のβに抱かれていると思うと、あまりいい気がしなかった 後悔と嫉妬に似た、よく分からない苛立つ感情。 だが千寿は別に、抱いて貰えれば相手は誰でもいいようで… 「ッ…千寿っ…中に出していいか?そろそろ…イきそ…っ」 「なっ…!やッ、め…ぁ"ッ飛ん、じゃ…!」 「いいぜ…飛んで。ピル飲ませといてやるし…風呂にも入れて…出したモン掻き出しといてやる…からッ……ンッ…!」 吐き出した精液を、決して形に成りはしない母体の中へと押し込む… それを喜ぶように、Ωの体は大きく跳ねて息を止め…ギュッと自身を突き刺す肉棒を締め付け、肩を震わせた。 本人の意思とは関係なく、必死に孕もうとする姿に酷く興奮する… ずっと友達でしかなかった千寿を犯したあの日から…抗えないΩのフェロモンと絡み付いてくるような体の抱き心地に、すっかり病みつきになってしまった。 本気になど、なれはしない。 俺は抱きたい、千寿は抱かれたい。 …体だけの関係。 普通のΩはαに抱かれて番を得ようとする。 βの自分にΩのセフレがいるなんて言ったら、大抵の奴は羨ましがるだろう… 「んじゃ…今日からよろしくな。…千寿」 糸が切れた人形のように動かなくなった…千寿の髪を掻き上げ、額に手早くキスをする。 手に入らないと分かっているものを、傷付けないよう触れるほど俺は器用じゃないし …俺以外の男にも、発情期を理由に足を開くこいつに… 優しく出来る余裕もない
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