無表情な先生は

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「ほんと腹立つんだけど!あのうさ公!」 サクは学校が終わってもなお怒りが収まらないようで、帰りにスーさんと俺を連れ出して学校の外にあるカフェへやって来た。 サクはαのプライドが以上に高い以外は、いたって普通の高校生だ。 「そう怒るなって、確かにあの先生の学力は高いよ。α並みだと思うぜ。」 スーさんはサクをなだめるように言いながら、頼んだブラックコーヒーに口をつける。 「だから余計悔しいんじゃん!僕高校入学したての頃、うさ公のことαだと思い込んでたからね。だいたい、英語以外は皆先生αだろ。何でうさ公だけβなのさ!」 確かに、英語以外の教科は全てαの先生が担当していた。 Ωクラスにはβの先生が付いているそうだが、なぜ先生はαのクラスで教えているのだろう。 それが出来るだけの、実力があるのは確かだが… 「新伊も!英語の授業の時ボーッとしすぎ。」 「へ?」 「あぁ、そうだぜ。お前英語の時だけ魂抜けたみたいになってるからな。」 「…マジか?」 そんなつもりは全くなかったのだが… どうもあの先生の声を聞いていると、その一つ一つの動作や声のトーン、表情が気になって気が付くと目で追ってしまっていた。 自分よりも年上で、しかも男の先生が気になって授業に集中出来ないなんて言えるはずがない。 「いや、あの声聞いてると眠くなってくんだよな…。おっ、サク!新商品のクレープ出てるぜ、めっちゃうまそうじゃん。」 俺は話をそらすように、ちょうど座っている席から見えたクレープの看板を指差した。 少しわざとらしかったと思ったが、サクは勢いよく看板の方を見ると、キラキラと目を輝かせる。 「季節のくだもの特盛クレープ…!!数量限定!?早く買わなくちゃ!」 「あ、俺も行く。スーさんは?」 「…俺はパス、甘いの苦手。」 そう言うとブラックコーヒーを啜った。 やはりスーさんは根っからのかっこいい男である。 わりぃ、ちょっと待ってて。 と呟いて、レジへ急ぐサクのあとを追った。
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