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その日は、私の経営する書道教室は休みで、私はなんの当てもなく、近所をふらりと散歩していた。
そんな時偶然に、その子の姿が目に止まった。
不安げにキョロキョロと周りを見ながら、フラフラと力なく歩くその子。
まるで、どちら側も選べずに、迷いながらフラフラとしている私のように…。
そんな事を思っていると、その子の前に一台のトラックが近づき迫ってきていた。
助けないと!
私は咄嗟にそう思った。
だけどそれは、優しさでも正義感でもなんでもなく、まるで私のようなその子を、いや、その子に重ねた自分を助けたかった。ただそれだけ…
私は躊躇なく、その子を助けるために、飛び込んだ。
そして、その子は助かり、私は一日意識を失う程の大怪我をして、しばらく入院する事となった。
あれから随分と経ったが、あの時のあの子は、今頃何をしているのだろうか…。
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