最後のサンドイッチ

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最後のサンドイッチ

      6月24日 水曜日  カレンダーには今日という日はそう書かれていた。手に持つ赤い封筒の宛名の上にも同じ日が書かれていた。しかも速達で送られてる。  (ああ、今日で終わりか……)  封筒を開け、中身を取り出す。勿論白紙、問題はこれが送られてきたことにある。  赤い封筒が届くとその日付の20時に死ぬ、という都市伝説がある。その封筒が今、手元にある。つまりそういうことなのだろう。  (さて……どうするべきか………)  これから死ぬ、と言われたらその人はどうするか。焦って泣いたり震えて布団の中で縮こまってしまうかもしれない。恋人とかいればその人と最後の時を過ごしたりするかもしれない。  (………………)  どうやら私は普通の人間ではないらしい。何も思わない、家族もいるし怖いものにも怖いと言えるはずなのに。いや、この場合はどうすればいいか分かっていないだけかもしれない。  時計をチラリと見る。丁度午後0時のところで二つの針は重なっていた。  (………飯、食いにいくか)  私は立ち上がって最期の昼食に向かった。
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