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今日の明日菜。
明日菜は僕の彼女である。
「あんた、バカぁ?!」
感情に任せて立ち上がった明日菜は、ななめ45°の方向にあごを上げ、そのポジションから目だけを僕へと見降ろすと、なんの躊躇もなく言い放った。
25年前 開始のアニメシリーズに、この「あんた、バカぁ?」が口癖の、明日菜とよく似た名前の少女がいたなぁと、僕は罵倒されながらも思っていた。
「私が甘いもの嫌いなの知ってるでしょ?!」
目玉が落ちそうなくらい見開いた明日菜の目は、僕を気持ちよく見下していた。
「そもそも高級菓子でもあげとけばそれで喜ぶと思ってんのが、間違ってんのよ!!」
キラキラと透明感のある明日菜の茶色の瞳は、東洋人のそれとは少し異なる雰囲気を醸し出している。
「せっかくの美人が台無しだよ、アスナ」
しかし明日菜はまったく気にしない。
逆にさらに侮蔑した目を僕に向けた。
「なによこれ、ピエールエルメの限定マカロン!? …素敵。いや、困るわっ」
一瞬現れた嬉しそうな表情を、僕は見逃さなかった。
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